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25の企業向けSaaSを提供するZOHOのフリーミアム戦略

山田竜司 (編集部)

2014-06-25 07:30

 無料で使えるスマートフォン向けアプリが多いように、企業ITにも無料で使えるSaaS型アプリがある。サイボウズのSaaS型グループウェア「サイボウズLive」はグループと呼ばれる情報共有のスペースを無制限に作ることができ、300ユーザーまで無料で利用できる。サイボウズを知らない人に同社を知ってもらうきっかけを作るためのプロダクトと位置付けているという。

 他にも企業向けSNSの「Yammer」やアンケート作成ツールの「SurveyMonkey」、プロジェクト管理の「Teamoffice」など分野もさまざまだ。

 SaaSをまずは無料で利用してもらう、いわゆるフリーミアム戦略の狙いは、まずは利用にあたってのハードルをできるだけ下げ、より多くのユーザーに機能を知ってもらうことにある。SaaSで提供される機能や性能が、ユーザーの要件にあっているかどうかを実際に操作することで確認してもらおうというわけだ。

 一般に、導入のハードルが高いと言われる企業向けアプリケーションを、無料とは言え気軽に使うユーザーが増えていることの背景には、通信回線の品質向上があると考えられる。クレジットカードがあれば、ほんの数分で導入でき、気に入ったら使い続けられる。シャドーITを懸念する、企業のIT部門にとっては悩みのタネかもしれないが、導入のしやすさはSaaSが持つ魅力の1つだ。


米ZOHOの開発マネージャー Shanmuga Perumal氏

 SaaS形式で顧客情報管理システム(CRM)を提供する米ZOHOに話を聞いたところ、「Zoho CRM」を中心に、多くの企業向けソフトウェアをSaaSで展開する同社は、順調に業績を伸ばしているという。CRM以外にもリード(見込み顧客)管理アプリやメール配信、名刺スキャンアプリ、請求情報管、文書管理などの25のSaaSを提供している。

 競合企業と同様、多数のSaaSをフリーミアムで展開する背景には、ZOHOがネットワーク管理システム開発ツールの「WebNMS」や統合ネットワーク管理ツール「ManageEngine」など他の製品で収益を上げていることがある。

 有料版も比較的安価で提供しているケースが多い。Zoho CRMの最上級プランはレコード数無制限で、カスタマイズも可能。メール配信サービスなどのマーケティングツールも含めても、ユーザーごとに必要な費用は年間7万円程度となっている。

 開発マネージャーのShanmuga Perumal氏によると「米国や欧州などの英語圏が、インドや中国、ブラジルも毎年50~60%成長でユーザー数が増加している」という。フリーミアムにより、今までシステム化を推進してこなかったユーザーも取り込んでいるとのことだ。

 Zoho CRMは無料で3ユーザー、5000レコードまで利用できる。「日本語に対応したSaaS型CRMをフリーミアムで提供しているところはあまりない」という。ベトナム語やポーランド語などを含めた13言語に対応している。ほとんどの製品のAPIを公開することで、ほかのさまざまな製品やサービスと連携できるようにした。直接の競合とも言える「Google Apps」や「Salesforce.com」との連携も可能であり、導入しやすさや連携しやすさを念頭に置いているとも表現できる。

 無料ユーザー向けに広告を提供して回収する“広告モデル”でないことも導入を後押ししている。Google Appsの無料版が2012年末に提供中止となった。それに加え、Gmailは、メールをスキャンして広告を掲載するモデルを採用しているため、それを嫌ったユーザーが「Zohoメール」を利用しているとのこと。

 2012年1月に無料、有料を含めた500万だったZOHOサービス群のアカウント数は現在は1000万を超えた。販売する側にとってSaaS型アプリケーションは一定額を定期的に収益として受け取れるのが利点であり、有料ユーザーが増えれば安定した収益が期待できる。一方で、参入障壁が低い分、同様のサービスが乱立することにもなり、値下げ圧力が生じたり、差別化が難しくなったりする懸念もある。

 ZOHOの取り組みから、SaaSをグローバル展開する場合、機能や、利用料金、ユーザー体験に加えて、他のアプリケーションと連携するためのAPIの公開、多言語対応などが重要になってくることが見えてくる。

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