Ben Haines氏は、Boxの最高情報責任者(CIO)を務めて1年になる。同氏は、クラウドコンピューティング、次世代IT人材の獲得、ビジネスに負けないスピードでの運用など、さまざまなビジネステクノロジの最前線にいる。
Haines氏が責任を負っているのは、Boxの業務アプリケーションであり、データセンターや同社の製品・サービスを支えるのに必要な、技術的な業務の構築には関与していないことにも触れておいた方がよいだろう。「私はそれで構わない」とHaines氏は言う。
Ben Haines氏
われわれはHaines氏にインタビューし、人材の獲得、スピードを上げるために開発を遅らせる、Boxが企業として拡大できるようIT基盤を構築するなどの話題について聞いた。この記事では、そのインタビューの要点と、Haines氏の1年目の主な成果について紹介する。
Haines氏から見たBox
Haines氏によればBoxは常軌を逸した組織であり、どちらかと言えば同氏がPabstに移る前にCIOを務めていた、Red Bullで経験したものに近いと述べている。Pabstではイノベーションを起こすのは難しかったが、Boxでは素早くイノベーションを起こすことが求められる。「Pabstでは、重要なのは問題を整理することと、簡単な仕事を(SaaSによって)こなすことだった」とHaines氏は説明する。「Boxでは、あらゆる場所にクラウドシステムがあったが、スピードと部門間の分断が尋常ではなかった」
Haines氏はBoxの最初のCIOであり、同社にはそれまでIT部門がなかった。「これはクラウドが企業のスピードにいかに貢献できるかを示しているが、過去2年間で従業員を倍にし、異なる時間帯でグローバルに業務を行い、報告レベルを増やしたところ、問題が複雑になり始めた」とHaines氏は言う。Haines氏に与えられた権限は、ITの基盤を構築し、規律を定めることだった。Haines氏が最も重視したのは、同氏が「穴埋め」と呼ぶ仕事だ。例えば、販売、営業、財務の各部門は、それぞれ独自のITグループを持っていた。Haines氏の最終的なプランは、「これらの組織は動かしながら、物事のスピードは緩めない」ということだった。
ところが、Boxの最も大きな「穴」は、統合の問題だった。Boxは、さまざまなクラウドシステムの橋渡しをする、ID管理に関するアーキテクチャを必要としていた。Workdayと、Salesforce、Zuora、NetSuiteを統合する必要があったのだ。もしこれらのシステム間のデータやユーザーが統合できなければ、Boxは報告や数字を得るために時間がかかってしまう。「そして、この統合をシステムによって実現しなければ、変更を人間の手で行うことになる」とHaines氏は言う。例えば、もしBoxがSalesforceでノルマや給与を変更しても、Workdayには反映されない。そして、営業部門の人間への支払いにはWorkdayが使われている。Haines氏によれば、最終目標はIT部門の人間を増やさずにスピードを上げることだった。