統合プラットフォームの選択
Boxで利用されていた複数のクラウドシステムをつなぐには、統合プラットフォームが必要だった。幸運なことに、同氏はすでにPabstでデューデリジェンスを十分に経験しており、データ統合にMuleSoftを選択した。MuleSoftの実装にかかった時間は全部で6週間だった。現在では、Workday、Okta、ServiceNowおよびほかのシステムは、同じ従業員IDを使った1つのデータリポジトリで動いている。
クラウドAPI
Haines氏は、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)はSaaSシステムの統合を簡単にしてくれるが、それを使ってコーディングするエンジニアを必要とすると話す。「SaaSでは、APIがあればあらゆることが改善されるが、よいAPIを持ち、そのことを理解しているのは成熟したクラウド企業だけだ。未成熟なクラウド企業は、APIを持っていない」とHanes氏は言う。筆者はHaines氏に、Boxにソフトウェアスイートを使ったアプローチが適していた時期があったかどうか尋ねてみた。答えはノーだった。「いいとこ取りのアプローチは手間は増えるが、一般にそう思われているほど難しくはない」とHaines氏は言う。BoxのIT部門は、社内のエンジニアに対して独自のAPIを提供しており、各部門のマネージャーは会社内で、データをほかのアプリケーションでも活用できるようになっている。
社内インフラの有無
Haines氏によれば、クラウドしか利用しないことが、会社としての明確な方針になっているという。「社内インフラを持つことを呼びかけようとした者もいたが、インフラの面倒を見るためにリソースを割きたくなかった。この会社では、ラックの面倒を見たり、機器を積み上げたりすることはない」とHaines氏は述べた。BoxはActive Directoryは持っているが、同社のアーキテクチャの中では可能な限り使わないようにしており、マスターデータはWorkdayとOktaに置かれている。
ビジネスインテリジェンス
Boxが持っている数少ない社内システムの1つがMicroStrategyだが、Haines氏はビジネスインテリジェンスに関して明らかに苦労しているようだった。「ビジネスインテリジェンスを実装して維持するのは非常に難しい」と同氏は言う。筆者はHaines氏に、アプリケーションインテリジェンスがビジネスでさらに大きな役割を果たすという考えについて尋ねた。Haines氏は、この分野の発展は興味深いものの、分析ツールはダッシュボードに統計を表示する以上の使い方をする必要があると述べた。
事業部門幹部との協働
Haines氏は、初めてのCIOであるにもかかわらず、Boxで敬意を持って受け入れられたと話す。「この会社では誰もが私より賢く、テクノロジ企業としてテクノロジのことを理解している。特定の技術の利点を説明しようとするときには、相手を煙に巻くことはできず、深いところまで説明しなくてはならない。また、一旦利点が理解されると、すぐに実現することを求められる。素早く実行することに対するプレッシャーは大きい」とHaines氏は言う。難しいのは、Haines氏のグループは、基盤をしっかりと維持しておく必要があるということだ。「急がば回れというわけではないが、まず基盤を構築する必要がある」と同氏は述べた。
人材
Haines氏は、企業システムに必要な人材を見つけるのが難しかったために、多くのプロジェクトは社外コンサルタントと一緒に行ったという。「多様な人材が必要だ。Boxの商品を作っている専門性の高いタイプのエンジニアは、この仕事には向かない。Salesforceの開発者もいるが、私は彼らを昇進させる必要がある」と、Haines氏は言う。同氏は、主にデータ統合の経験があるエンジニアを探している。