シマンテックは6月5日、クラウド上にメールを保管するサービス「Symantec Enterprise Vault.cloud(EV.cloud)」の提供を開始した。税別参考価格は、初期費用が16万円、利用料金が250~499メールボックスで1ライセンスあたり年額5208円。メールを保管、管理、検索でき、エンドユーザーはさまざまなデバイスから容易にアクセスできるという。
シマンテック 常務執行役員 関屋剛氏
シマンテック プロダクトマーケティングマネージャ 長島理恵氏
同社の常務執行役員である関屋剛氏は、「メールは企業の重要な資産のひとつであり、そのデータ量は増加の一途をたどっている。一方でメールはサイバー攻撃の手段にもなっており、情報漏えいのリスクもつきまとう。これ以外にも数多く存在するメールの課題に対応するサービスとして提供するEV.cloudは、先行して金融など約10社に利用していただき、好評だった」と説明した。
同社のプロダクトマーケティングマネージャである長島理恵氏は、メールシステム運用のポイントとしてセキュリティや可用性、容量、そしてコンプライアンスを挙げた。
セキュリティ面では、メールを介した脅威が増加しており、特に2012~2013年で91%も増加した標的型攻撃もメールから侵入することを指摘した。
この課題に対してシマンテックでは、550人のリサーチャーと14のオペレーション&レスポンスセンターで「グローバル インテリジェンス ネットワーク」を形成、データを分析して、サービスにフィードバックしているとした。同社のSaaS型メールセキュリティ「Symantec Email Security.cloud」のシェアは世界と日本の両方で1位という。
容量の点では、IDCの調査でメールなどの非構造化データが2018年に3.6エクサバイトに達することを提示。こうしたデータ量の爆発的な増加はメールボックスの容量オーバーを招き、現状の対策はハードウェアの追加とデータの削除しかないと指摘した。
ハードウェアの増加は運用負荷とコストが増加してしまうし、データの削除は重要情報の消失や情報漏えいのリスクがある。コンプライアンスについては、海外ビジネス展開での訴訟リスクを挙げ、メールシステムにもその対応が求められるとした。
EV.cloudは定額で容量無制限。安全で可用性が高いというマルチテナント型のクラウドストレージとなっている。Outlookと連携したインターフェースとなっており、ブラウザから利用することでiOSやAndroidのモバイル端末でもメールを検索、送受信できる。オプションで提供される事業継続計画(BCP)に対応するための「Mailbox Continuty」でオンプレミスのメールサーバがダウンしても送受信を継続できる。
コンプライアンスの面では、監査法令対応用インターフェースである「Diccovery.cloud」を用意。メール証跡を高速で出力できるほか、訴訟ホールド、電子証拠開示(eディスカバリ)にも対応。外部機関向けデータ公開にも活用できる。
長島氏は、実際にiPadからEV.cloudを利用する様子を実演。24カ国語に対応していることや絞り込みも可能な検索機能、詳細検索、メールの送受信、タグでメールを抽出する「タグマネージャー」などの機能を紹介した。
EV.cloudの差別化ポイントとして長島氏は、他社サービスの多くがコンプライアンスにフォーカスしていることに対し、セキュリティや容量、可用性も高いレベルで対応していること、BCPオプションが用意されていること、同社のクラウド型セキュリティと併用することでセキュアな環境で運用できること、容量と利用期間ともに無制限であること、そしてグローバル対応であることも挙げた。
対応するのは「Exchange 2003 」(SP1以上)と「Office 365」のメールアーカイブ。「Lotus Notes」にも近日中に対応予定としている。
EV.cloudのメニュー