IDC Japanは7月2日、国内の企業や団体1220の最高情報責任者(CIO)などIT部門責任者を対象としたIT投資動向調査の結果を発表した。2014年度の国内企業のIT支出は、2013年度とほぼ横ばいで推移し、セキュリティとモバイル領域に注力する企業が多い見込みという。
2014年度のIT予算が前年比で「ほとんど/全く変わらない」とする企業は前年比0.3ポイント減の66.3%。投資を計画している領域は「ネットワーク、施設、ハードのセキュリティ強化/情報漏えい対策」が17.1%で1位、「モバイル機器用システム」が16.4%で2位だった(複数回答)。IT投資が横ばいの中、この2つの領域は企業の規模を問わず、IT投資の対象になるとIDCは予測している。
営業やマーケティングなど業務部門でのIT活用強化の傾向を受け、調査では情報システム部門が関与しない、業務部門独自のIT予算(情報システム部門非関与予算)の状況をたずねている。情報システム部門非関与予算が「ある/あると思う」という回答は、全体では19.8%、従業員規模1000人以上の大企業では38.8%だった。情報システム部門非関与予算が増加する理由としては、「現場の要件をより迅速にシステムに反映するため」が1位、「新たなテクノロジやIT製品/サービスに対する情報システム部門のスキル不足」が2位だった。
IDCは、情報システム部門が対応しきれていない領域に対してユーザー部門が自ら予算を割き、積極的に関与しようとしている動きの表れと見ている。
調査によると、大企業を中心に海外、特にアジアを中心に投資している企業が増えているという。今後3年間の計画では、中心的投資先だった中国から東南アジアへのシフトが鮮明になっており、海外向けのIT支出が伸長するという見解を述べた。
情報システム部門非関与予算の有無:従業員規模別