Lenovoは2月21日、コンシューマー向けノートブックPCの一部に搭載した大きな問題のあるソフトウェア「Superfish」の自動削除ツールを公開した。
Superfishは、ウェブサイトを表示したときにユーザーの意思とは関係なくHTMLを書き換えてJavaScriptを挿入することで広告を表示させるアドウェアのような振る舞いをするソフトウェアだが、その仕組みに大きな問題がある。
インターネットで安全な通信をする場合には、SSL/TLSプロトコルを用いたHTTPS通信を使い、サーバの認証や通信内容の暗号化、改竄の検出などをし、これによってなりすましや盗聴などの攻撃を防ぐ。仕組みとしては、ウェブブラウザ(PCなどの端末)がウェブサーバにHTTPS通信でアクセスを開始すると、サーバが「SSL証明書」をPCに送信し、PCはそのSSL証明書が信頼のある第三者機関の正しい「認証局」から発行されたか、現在通信しているサーバがそのSSL証明書に記載されているサーバと一致しているかなどを照合(PCに保存された「ルート証明書」と照合)し、正しければ通信が確立される。
Superfishは、サーバがSSL証明書をPCに送信する際に正式ではない自己署名SSL証明書を送信する。通常であれば、偽造された証明書なのでPC側で照合して安全ではない通信だと判断されるが、SuperfishのソフトウェアがPCに搭載されていればこの照合時に「正しい認証局から発行された証明書」と判断してしまう。つまり、Superfishが利用されると、安全な通信が確立できなくなる。
この問題を認識し対応開始したLenovoは2月20日に声明を発表すると共に、手動で削除する方法を公開したが、2月21日には自動でソフトウェアとルート証明書をPCから削除するツールを公開した。Superfishのソフトウェア自体は一般のソフトウェアと同様にアンインストールできるが、PCに保存された証明書の削除もしなければならないので、このツールを使ったほうがいいだろう。
さらにLenovoは、「McAfeeとMicrosoftの2社と連係し、それぞれが提供するツールとテクノロジーを使ってSuperfishソフトウェアと証明書を隔離、削除しようとしている」とした。今回の問題に気づいていないユーザーも多くいると予想されるため、おそらくWindows Updateなどを通じて展開されるということだろう。