松岡功の一言もの申す

「連想分析」を用いたBIエンジンのポテンシャル

松岡功 2015年04月21日 12時00分

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 「連想分析」というユニークな技術を用いたビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアを提供する米QlikTechが、その中核技術のOEM供給にも注力している。この取り組みは非常に興味深い。

クリックテックがBIエンジンのOEM供給に注力

 「当社独自のBIエンジンをOEMパートナーの製品に組み込んでいただくことで、より多くの方々に連想分析技術を使っていただき、BI市場でのプレゼンスを高めていきたい」

 QlikTechの日本法人であるクリックテック・ジャパンのJay Powell社長は、同社が4月16日に開いた記者向けの事業戦略説明会でこう語った。

 QlikTechが主力製品として提供するBIソフト「QlikView」は、ハイコストパフォーマンスと使いやすさが受け入れられ、これまでに世界100カ国を超える3万4000社以上の導入実績を上げてきた。

 Powell氏によると、同社はこのほどQlikViewに加え、新たにセルフサービス型のデータ可視化ソフト「Qlik Sence」を主力製品として投入。さらに、QlikViewやQlik Senceのアップデート対応やアプリケーション共有などを行えるクラウドサービス「Qlik Cloud」を今年6月に提供開始するなどの事業強化を図る構えだ。

 事業強化策の詳細な内容については関連記事を参照いただくとして、その中で筆者がとくに注目したのは、Powell氏の冒頭の発言にもあるように、QlikViewやQlik Senceの中核技術である同社独自のBIエンジンのOEM供給にも注力していることだ。

 クリックテック・ジャパンの安部知雄マーケティング本部長によると、BIエンジンのOEM供給は日本でも2010年夏から開始し、現在16社のOEMパートナーが自社の製品に組み込んでいるという。

世界の「データ分析プラットフォーム」への挑戦

 なぜ、筆者が同社のBIエンジンのOEM供給に注目したかというと、まずはBIエンジンそのものが技術的にユニークだからだ。そのキーワードが「連想分析」である。連想分析のもともとの発想は、人間が情報を処理するときの思考パターンが階層型ではなく連想型であることから来ている。つまり、人間の思考パターンに基づいた分析技術なのである。

 具体的な技術のポイントとしては、既存のさまざまなシステムが個別に持っているデータを読み込んで、「連想」による独自の正規化手法を用いて圧縮、統合し、利用者の操作に応じて関連する情報を素早く検索してひとまとめに引き出せることにある。しかもそれを迅速に行うためにインメモリ方式を採用している。

 これがQlikViewやQlik Senceといった製品に加えて、組み込み型のBIエンジンとして数多く採用されるようになれば、すなわちQlikTechのデータ分析プラットフォームが大きく広がっていくことになる。ビッグデータ時代を迎えた今、そのアドバンテージは相当なものになるのではないかというのが筆者の見立てだ。

 このビジネス展開の仕方は、米IBMが今注力している人工知能技術「Watson」の取り組みと似ている。Watsonも専用のクラウドサービスを提供するとともに、さまざまな用途に向けて組み込み型の人工知能エンジンとして普及させようとしている。いわゆる「Watsonプラットフォーム」を世界中に広げるのがIBMの野望である。

 今後、QlikTechのBIエンジンのOEMビジネスにおいて注目されるのは、IBMのような大手グローバルベンダーが採用に踏み切るかどうかだ。もっとも大手グローバルベンダーからすれば、OEMではなくQlikTechそのものを買収しようとするかもしれない。その憶測は以前からあったが、結果としてQlikTechは今、独立独歩でビジネスを拡大している。その勢いで、果たして同社ならではのデータ分析プラットフォームを大きく広げていくことができるか、注目しておきたい。


会見に臨むクリックテック・ジャパンのJay Powell社長(右)と安部知雄マーケティング本部長

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