大日本印刷(DNP)は8月25日、標的型攻撃から企業のネットワークを守るためのセキュリティリーダーなどの人材を育成する訓練システム「TAME Range(テイムレンジ)」の本格販売を9月1日に開始すると発表した。税別価格は1ライセンスあたり2億円から(初期導入費用や仮想トレーニング環境で使用する装置や設備費を含み、コンサルティングでの人件費は含まず)。2018年度で30億円の売り上げを目指す。
標的型攻撃の増加など、サイバー攻撃による企業のリスクが高まる一方、企業内の情報セキュリティ技術者は慢性的に不足しており、高度化するサイバー攻撃に対応できるセキュリティ技術者の人材育成が急務とされている。サイバー攻撃に対する防衛訓練には、講義を受けるだけではなく、リアルタイムに起きる攻撃への対応を訓練することが重要となる。
仮想トレーニング環境の例(DNP提供)
TAME Rangeは、イスラエルの航空機メーカー大手Israel Aerospace Industries(IAI)が提供する訓練システム。高度化するサイバー攻撃に対して適切に対応、判断できるセキュリティリーダーの育成と、未知の攻撃に対応できるスキルの修得に主眼を置き、現実の脅威に対抗できるレベルまでの技術者の能力向上が見込めるという。
同システムは、一般的な企業のネットワークシステムを仮想化したトレーニング環境(サイバーレンジ)で、サイバー攻撃をシミュレーションする。サイバー攻撃のシナリオは、実例に基づいたリアルなものとなっている。
1チーム4人単位、最大4チームを同時に訓練できるチームで取り組むことで、組織としてのチームワークも向上すると説明。セキュリティリーダーが各メンバーの役割やタスクを設定し、情報を総合的に判断して次の行動を指示することで、指揮能力を習得できるとしている。
制限時間内にサイバー攻撃を検知、分析、遮断、駆除し、報告までを訓練する。訓練者の理解度と対処状況を自動的に管理できる独自の機能を備えるという。
DNPは、TAME Rangeを販売するとともに情報セキュリティ強化に関する企業にコンサルティングし、技術者の育成を支援していく。同社では、セキュリティ人材訓練事業に参入し、コンサルティング事業に業容を拡大、従来から進めているサイバー防衛を中心とした製品やサービスをさらに拡充していくとしている。
今後は、DNPが公開鍵基盤(PKI)関連ソフト開発やPCセキュリティソフト開発で培った技術と組み合わせたさまざまなサービスや製品をセキュリティ上の課題解決に向けて提供していくと説明している。