「マーケターはこれまで以上に複雑なスキルを求められる。簡単になれる職種ではなくなるかもしれない」
米MarketShareのJean-Philippe Durrios氏と日本法人でマネージングディレクターを務める宮津和弘氏(右)
こう話すのは、マーケティングソリューションを展開する米MarketShareの日本法人でマネージングディレクターを務める宮津和弘氏だ。
同社は、マーケティング予算の割り当てなど計画を立てるマーケティングミックスやDMPなどの分析ソフトウェアを提供している。
次期の予算を決める際に、既に決まった計画だけでなく、新たな予算投資パターンを推奨する――例えば、下図で計画通りの場合は99.9百万ドルであるのに対し、アプリケーションが推奨するパターンでは119百万ドルと、19.2百万ドル分追加の売り上げを今後4週間の間に得られるとする。
過去の売り上げパターンや最新の市場データなど、さまざまな情報を加味した上で推奨する。
最適なマーケティングミックスを予測する
便利な機能だが、このあたりのさじ加減は、それこそマーケターの腕の見せどころとも言える。それが「人工知能(AI)にとって代わられる」との見通しがある。
来日したMarketShareのJean-Philippe Durrios氏も「AIがマーケターの仕事を奪うのではという議論は米国でも起きている」と話す。
ユーザーである米Citrixは「モデルとテストを繰り返し分析し続けることによって、たとえあまり状況が良い時ではなくても、自信を持ってチャレンジできる」とコメントしている。
過去の分析だけでなく、未来の予測を含めて、マーケティングミックス情報をソフトウェアが提供できるようになることで、マーケターに求められる役割は、「より期待できそうな売れ筋商品の組み合わせの決定」といったことから、さらに上の階層へと引き上げられていく。
例えば対競合戦略や施策の立案、パートナーシップ強化などさまざま考えられるが、冒頭の宮津氏の発言通り、従来よりも複雑になるのは間違いなさそうだ。
Durrios氏は「Do more with less(もっとたくさんのことを、もっと少ないリソースでやるように)という要請が強まる中で、マーケターに財務的な視点が求められてくる」とも話している。