日本オラクルは2016年6月30日、都内で会見し2016年の事業状況を報告するとともに、2017年に重要視する事業分野について説明した。2016年のハイライトは、クラウド分野の売上が39.3%と急成長したこと。2017年も、SaaSの統合基幹業務システム(ERP)を中心にクラウド事業に注力する。
日本オラクル社長の杉原博茂氏は会見で、2014年4月の社長就任時に2020年に向けたビジョンとして「クラウドでナンバーワンになる」と宣言したことに触れた。同社の時価総額は、2016年単年で508億円、社長就任以来では1471億円増えたことを紹介した。
日本オラクル、取締役、代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏
実際に同社のクラウド事業は成長しているという。2016年に、クラウド分野の売上は39.3%増えた。2016年に同社のクラウドを新規に使い始めたユーザーは、SaaSが150社、PaaSが200社ある。また、Exadataのようなミドルウェアとハードウェアを統合したシステム製品の売り上げも堅調で3.1%増えた。
杉原氏は、米Oracleと日本オラクルが他社と違う部分を、半導体チップからクラウドサービスまですべてを1社で提供する能力がある という面で「テクノロジカンパニーであること」とアピールする。こうした基盤をベースに、2017に重点的に取り組む分野を4つ挙げた。
2017年に重点的に取り組む施策は4つある
重点分野の1つが(1)「SaaS/PaaS/IaaS事業の拡大」だ。特にSaaSのERP/EPMクラウドに対して重点的に施策を打っていく。大企業が主だった従来とは異なり、中堅中小企業にも同社のサービスを使ってもらえるようにする。協業パートナーも500社を目標に拡大する。
クラウド型のERP「Oracle ERP Cloud」を3カ月で導入した中堅中小企業の事例として杉原氏は、おこわ専門店の米八グループを紹介した。それまでファクスと表計算ソフトでやっていた基幹業務をERPに移行した例だ。
他の重点分野として、(2)「エンタープライズ営業の強化」では、各セグメントごとにバイスプレジデント(副社長)を配置する。(3)「システム事業の拡大」は、統合システムに注力する。「ハードウェアがなければクラウドサービスは動かない」(杉原氏)からだ。
(4)「地域ビジネス成長への貢献」では、7支社7支社長体制をとって、各地域での販売を強化する。「米国では人口800万人以上の都市が全土に分散している。日本は東京/神奈川と大阪しかない。この地域格差を日本オラクルが解消する」(杉原氏)