ミック経済研究所はこのほど、国内の組み込みシステムを指す「エンベデッドシステム」市場の調査結果を発表した。調査は85社を対象とした。2015年度は約9055億円、うちIoT市場は約270億円だった。
エンベデッドシステム・ソリューション市場の推移
主な調査結果は以下の通り。
- エンベデッドシステムソリューション市場全体の動向
- 製品分野別では医療・監視モニタリング分野が高成長
- エンベデッドシステムソリューションにおけるIoT市場は急成長
エンベデッドシステムソリューション市場の2015年度売上高は9055億2300万円となった。内訳は、ボードコンピュータやそれらを組み込んだコンポーネントを中心とするハードウェア関連市場が2329億500万円、ミドルウェアや開発ツールなどのソフトウェア関連市場が1487億円7300万円、アプリケーションや保守、コンサルティングなどのサービス関連市場が5238億4500万円。
中でも成長分野は自動車関連市場で、自動運転、先進運転システムといった先端技術に対する投資が積極化している。国内では2020年の東京五輪・パラリンピックを目途にした、高速道路での「準自動パイロット化」や「無人自動走行移動サービス」といった目標が設定されており、今後もこれら先端技術に対する研究開発投資によって自動車関連市場は活発化する見込みという。
しかし、不安定な為替や、中国需要の縮小といった外部要因から市場全体の成長は鈍化した。携帯電話や通信設備機器といった、かつての成長分野が減退し、今後も自動車関連市場以外の大きな成長分野が見当たらないことから、2016~2020年度までの年平均伸長率を約2.1%と予測し、2020年度の市場規模は1兆70億8800万円と見込んでいる。
調査企業67社における17項目の2015年度製品分野別売上高をみると、自動車関連市場を含む運輸/建設機械が最も大きく、全体の23.3%を占める1234億26百万円となった。次いで通信設備機器が692億4300万円となった。
成長率で最も高かったのは医療分野で、売上規模では141億5000万円で全体の2.7%と小さいが、診察機器を中心に、在宅医療用の管理システムやヘルスケア用のウェアラブルデバイスといった分野で市場を広げ、2016、2017年度の直近2カ年の予想平均伸長率は15.4%と予測した。また監視モニタリング分野も、205億8800万円で全体の3.9%と同じく売上規模は小さいものの、BEMS(ビルマネジメントシステム)や、セュリティカメラなどの監視・管理といった分野で市場を広げており、今後の成長が期待されるとした。
エンベデッドシステム・ソリューションにおけるIoT市場は、2015年度で270億1200万円となった。監視・モニタリング分野を中心に、センサーをネットワークでつなぎ、課題を解決していく取り組みは、各ベンダーがさまざまな分野で試みており、これら新規分野開拓も活性化している。これらの動向を踏まえ2016~2020年度は、年平均19.1%の伸長率で推移し、2020年度の市場規模は648億2300万円と見込んでいる。