三菱電機は2月17日、省メモリ化により車載機器、産業用ロボットや工作機械などの組み込み機器への搭載を容易にした「コンパクトな人工知能」を開発したと発表した。推論処理(既知の事柄を元にして未知の事柄について予想する識別、認識、予測などの処理)の演算量を減らして実現したという。
本技術により、従来大規模サーバが必要であった高度な推論が、セキュアな環境下で高速処理を行う人工知能システム上で低価格に実現できるという。同社では2017年度以降に車載機器、産業用ロボットや工作機械などで順次製品化する予定。
コンパクトな人工知能のイメージ(三菱電機提供)
人工知能の搭載場所 | 設備価格 | セキュリティレベル | 処理速度 | |
---|---|---|---|---|
今回 | 組み込み機器 | 低い(小規模サーバ+狭帯域ネットワーク) | 高い(推論結果のみをアップロード) | 速い(推論処理のみ) |
従来 | サーバ | 高い(大規模サーバ+広帯域ネットワーク) | 低い(機密情報をアップロード) | 遅い(推論処理+ネットワーク経由) |
今回開発された技術の特徴は以下の通り。
推論処理の少演算量・省メモリ化により、人工知能をコンパクト化
- 推論に用いるネットワーク構造と計算方法を効率化し、新たなアルゴリズムを開発
- 推論精度を保ったまま推論処理の演算量・使用メモリ量を90%削減 し、コンパクト化
人工知能の組み込み機器への搭載を可能にし、利用範囲を拡大
- サーバやネットワーク設備の小規模化により、低価格で人工知能を導入
- 機密情報をサーバにアップロードする必要がなく、高いセキュリティ環境で作業可能
- 組み込み機器で推論処理することで、ネットワーク状況に依存せずに高速処理が可能