IDC Japanは12月26日、国内ソフトウェア市場の2016年~2020年の予測を発表した。なお、IDCではソフトウェア市場に、パッケージソフトウェア、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)の売上額が含まれると定義している。それによると、2016年の国内ソフトウェア市場は前年比成長率を3.9%の2兆7416億9000万円と予測している。
国内ソフトウェア市場予測、2015年~2020年
大分類市場別では、アプリケーション市場が前年比成長率4.0%、アプリケーション開発/デプロイメント市場が前年比成長率6.1%、システムインフラストラクチャ市場が前年比成長率2.3%と予測した。最も高い成長率が見込まれるアプリケーション開発/デプロイメント市場においては、企業のビッグデータに対する投資の拡大がデータベースとアナリティクスソフトウェアの売上に寄与し、構造化データ管理ソフトウェア市場が前年比成長率6.8%、データアクセス/解析/デリバリーソフトウェア市場が前年比成長率8.4%と高い成長になると予測している。
アプリケーション市場では、カスタマーサービスやマーケティングへと活用が広がっているCRMアプリケーション市場が前年比成長率4.9%と最も高い成長率となった。
国内ソフトウェア市場の2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.2%で推移し、2019年には3兆円を突破し2020年には3兆2388億円に達すると予測。大分類市場別CAGRでは、アプリケーション市場が3.7%、アプリケーション開発/デプロイメント市場が6.2%、システムインフラストラクチャ市場が3.5%と予測している。
アプリケーション開発/デプロイメント市場ではビッグデータ/アナリティクスの需要が引き続き拡大することに加え、PaaSの成長が本格化し、2020年まで毎年5%以上の前年比成長率が続くとIDCではみている。アプリケーション市場では、ビジネスのデジタル化によってディープラーニングと機械学習を組み合わせたサービスを提供する企業が増え、コグニティブ/AI(人工知能)システム/コンテンツアナリティクスソフトウェアへの投資が拡大するとみられる。システムインフラストラクチャ市場では、標的型サイバー攻撃対策のためのセキュリティソフトウェアやシステム運用自動化のためのシステム管理ソフトウェアの需要が増加すると予測している。
同社ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は、以下のようにコメントしている。
「企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現することによって、自社のビジネスモデルに合わせてアプリケーションをデザインし、ソフトウェアやクラウドサービスを組み合わせて開発するようになっていくと考えられる。ソフトウェアベンダーは、従来の重厚長大な統合型パッケージではなく、ソフトウェアやクラウドサービスを通じて機能ごとに細分化されたコンポーネントを迅速に提供していくことが重要である」