大企業の多くが間違ったデータで意思決定しているとの調査結果

NO BUDGET

2015-12-04 08:22

 エンバカデロ・テクノロジーズは12月1日、「データモデリングとコラボレーション~ビジネスユーザーとデータプロフェッショナルのための考察~」との調査結果を発表した。Dimensional Researchが、世界各国のデータ技術者と開発者、ITマネジャー402人を対象に実施したもの。

 これによると、一貫して正しいデータのみを利用していると回答したの企業はわずか13%、一貫してデータを正しく解釈していると回答したのは9%だった。

 この傾向は、特に大企業で顕著となっており、誤ったデータの解釈をしていると回答した大企業の割合は20%に上った。これらの企業ではビジネスステークホルダーが頻繁に間違ったデータを使用して意思決定し、データの解釈を誤っていると回答している。

 エンバカデロ・テクノロジーズでは、このような結果となる主な原因として、データチームと開発チームのコミュニケーション不足を挙げている。このことについて、同調査では55%の経営層がデータチームと開発チームのコミュニケーションが大変重要だと回答しているが、両者のコミュニケーションが良好であると回答した企業はわずか25%だった。

 また、システム開発において各種業務データの利用方法を設定するデータモデリングチームが開発プロジェクトの早い段階から参画しているケースは、半数以下にとどまっているという結果となった。

 同調査では、95%の開発者が良いデータモデルを使用することで、アプリケーションの品質が高まると回答しており、95%のデータに関係する担当者が、開発者がデータモデリングをもっと理解すれば、アプリケーションやデータの品質が向上すると回答している。

 この結果から、エンバカデロ・テクノロジーズは、データモデリングのベストプラクティスの実装が、アプリケーションやデータ品質向上の鍵となると多くの企業で認識されているとしている。

 エンバカデロ・テクノロジーズでは、一貫して正しいデータを利用、解釈できるシステムの開発には、アジャイル開発のプロセスにデータモデリングも含めるアジャイルデータモデリングが有効だと指摘している。

 同調査での回答企業もアジャイルデータモデリングについて、「データの精度と整合性の向上」(52%)、「よりよい協業」(51%)、「アプリケーション間での一貫性の改善」(49%)などのメリットを挙げている。しかし、何らかのアジャイル開発の手法を採用している73%の回答企業の中で、データモデリングもプロセスに含めているのはわずか34%となった。

 その一方で、アジャイルデータモデリングに価値を感じている企業は95%に上ることから、エンバカデロ・テクノロジーズでは、アジャイルデータモデリングがシステム開発において潜在的なニーズとして存在しているとしている。

 同社は、日本企業のシステム開発は、要件がまとまってから仕様をドキュメント化することが多く、結果として実装された要件がビジネスにそぐわず、手戻りが発生するケースがよく見受けられると指摘している。その上で、今回の分析結果から、日本企業も開発段階からデータモデリングの概念、そしてアジャイル開発を取り入れることで、常に正しいデータを維持、利用し、適切な経営判断を行える強い組織体制を構築できるとしている。

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