Intelと、地図情報やロケーションサービスを提供するHEREは米国時間1月3日、HEREの持ち株の15%をIntelが取得することで合意したと発表した。このニュースのおよそ1週間前には、中国の大手IT企業であるTencentと、北京に拠点を置く地図情報企業NavInfo、シンガポール政府の投資公社であるGICがHEREの持ち株の10%を共同取得する意向を発表している。なおHEREは現在、AudiとBMW、Daimlerによって所有されている。
Intelは今回の投資の一環として、HDマップをリアルタイムでアップデートできる概念実証アーキテクチャの設計およびテスト、調達を実現するためにHEREや、同社を所有する自動車メーカーらによるコンソーシアムと協力していく。このアーキテクチャは、自律運転システムで用いられる地図情報技術の精密さや正確さの向上を目的としている。
例を挙げると、現行のナビゲーションテクノロジでは自動車の位置をメートル単位で正確に把握できるが、高精度な地図情報を用いることで、精度をセンチメートル単位にまで高められるようになる。このような精度は最終的に、自律運転車が道路上でより正確に位置を把握するうえで役立つため、安全性や信頼性、運転機能の向上につながる。
HEREは現在、この種の地図情報技術を「HD Live Map」という名称のクラウドサービスとして提供しており、Intelはハードウェア面で貢献することになるはずだ。最終的にIntelとHEREは、クラウドコンピューティングとIoTの持続的な成長を促すために、他の自動車メーカーにもこのアーキテクチャを提供する計画だ。
Intelの最高経営責任者(CEO)Brian Krzanich氏は発表のなかで、「自動車はごく短期間のうちに、世界で最もインテリジェントなコネクテッドデバイスの仲間入りを果たしてきている」と述べるとともに、「われわれは未来のスマートカーやコネクテッドカーの土台を作る重要な技術を実現するために、HERE、および同社を所有する自動車メーカーらとともに力を合わせていくことに期待している」と述べている。
また、HEREのCEOであるEdzard Overbeek氏は発表のなかで、「現実世界の表現をリアルタイムかつ高品位なかたちで表示するとともに、自動的に最新のものに保ち続けることが、自律運転にとって必要不可欠であり、これを実現するには今までよりもはるかにパワフルかつ高性能な車載コンピュートプラットフォームが必要となる」と述べるとともに、「Intelは卓越したシリコンチップメーカーであるため、自動車とクラウド、そしてありとあらゆるコネクテッドデバイスを横断する、普遍的かつ常に最新であり続けるデジタルロケーションプラットフォームの創出を支援することで、自動車分野におけるHEREの野望を実現するための力になってくれるはずだ」と述べている。
IntelはHEREとの契約に関する金銭的条件は明らかにしていないものの、取引の手続きは2017年第1四半期に完了すると述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。