マカフィーは4月20日、2018年度の事業戦略を発表した。1月に買収が完了したSkyhigh Networksのクラウドセキュリティサービスを国内で本格展開する。
マカフィー 代表取締役社長の山野修氏
Skyhighは2012年に設立され、「CASB(Cloud Access Security Brokers)」と呼ばれるセキュリティソリューションを手掛けていた新興企業。IT市場調査各社の多くが、CASB市場の「リーダー」に位置付けているという。CASBは、オフィス内外からクラウドアプリケーションへの接続を一元的に管理し、認証やアクセス制御、データトラフィックの監視、セキュリティ検査、ログ管理など、クラウドのシステムを利用する上での統合的なセキュリティ対策を行うソリューションになる。
記者会見で事業戦略を発表した代表取締役社長の山野修氏は、「セキュリティ業界に20年以上身を置いてきたが、CASBほどの急成長ぶりを見せた市場はなかった。2012年頃に創業したばかりのSkyhighの社名は耳にしていたが、当社がこのビジネスを手掛けるとは思わなかった」と語る。
Skyhighのソリューションは、大きく「シャドーITの可視化」「クラウドアプリケーションの制御と管理」「カスタムアプリケーションの接続と管理」「Amazon Web Services(AWS)のセキュリティ管理」の4つで構成される。特に、組織的な管理が十分になされていないITの利用を意味する「シャドーIT」の実態をネットワークトラフィックの解析から可視化する点で導入企業の評価が高いという。
Skyhighのソリューション
山野氏によれば、Skyhighの顧客は世界全体で600社以上あり、国内でも大手企業が導入している。マカフィーによる買収で、200社近い問い合わせが寄せられているとし、記者会見では日本特殊陶業と、社員数3万5000人規模の製造業の導入事例を紹介。「日本の製造業はグローバル企業が多く、海外拠点で導入していたCASBを日本にも展開することを検討している企業が多いようだ」(山野氏)という。
この買収に伴って、Skyhighの日本法人もマカフィーに移管され、2月1日に「クラウドセキュリティ営業本部」を発足。山野氏は、2018年中にCASBの国内市場の過半数以上のシェアを獲得するという目標を掲げ、2018年の事業戦略ではSkyhighを含む同社がこれまで手掛けてきたクラウド向けのセキュリティ製品群の展開に注力していくと表明した。
日本特殊陶業での導入事例
CASB分野には、SymantecがネットワークセキュリティのBlueCoat Systemsを買収して市場に参入しているほか、大手IT各社もクラウド事業の一環から、モバイルデバイス管理(MDM)などを強化する形で、CASBに近い機能を提供し始めた。国内では「働き方改革」に伴うセキュリティニーズが高まっているが、CASBは新しいソリューションのため市場が拡大するかが注目される。