日本マイクロソフトは5月29日、都内で三井不動産のオープンイノベーション支援プログラム「BASE Q イノベーション・ビルディングプログラム」において、Microsoft 365を中心に協業すると発表した。
「イントレプレナー(社内起業家)の戦略設計からパートナー選定、プロジェクト成功までのコンサルティング支援を行う本プログラムに共感し、技術面からのコラボレーションを支援する」(日本マイクロソフト 業務執行役員 Microsoft 365 ビジネス本部 本部長 三上智子氏)ため、本プログラム開始後の企業に対しては「Microsoft 365利活用支援」、同プログラム開始前企業へは「Microsoft Open Innovation BASE」を7月27日より継続的に開催する。
日本マイクロソフト 業務執行役員 Microsoft 365 ビジネス本部 本部長 三上智子氏
多くの企業で既存事業や新規事業の創出などイノベーションの重要性が叫ばれているものの、そこに至るために解決すべき課題は少なくない。実際にプロジェクトを開始した企業でも、「成功に導くことはレアケース」(三上氏)だという。
そこで三井不動産は「イノベーションブームは数年続いているが、有意義なコラボレーションは生まれていない。スタートアップに元気がないという意見もあるが、自身は大手企業が変わる必要があると思案し(三井不動産 ベンチャー共創事業部 事業グループ 統括 光村圭一郎氏)、電通及びEY Japanと共に、BASE Q イノベーション・ビルディングプログラムを6月18日から開始する。
同プログラムの運営拠点となるコミュニティスペース「Q LOUNGE」などを活用し、起業実践者や事業開発経験者がコンサルティングとして常駐(オープン時は7人)。参加企業とのミーティングやブレインストーミングといった戦略整理、人材マッチング、協業・共創を1年間にわたってサポートする「伴走コンサルタント」、イントレプレナーを育成する「Qスクール」などを開催する。
三井不動産 ベンチャー共創事業部 事業グループ 統括 光村圭一郎氏
このビジネス創造拠点のインフラとなるのがMicrosoft 365だ。企業内コミュニケーションツールだったMicrosoft Teamsは、3月から社外メンバーをチャットルームに招待し、より迅速な意見交換や意思決定を可能としている。「日本マイクロソフトも社外の顧客と(Microsoft Teamsを通じて)つながり、共同作業を実践している。リアルタイムの会話で商談スピードも加速した」(三上氏)という。
気になるのが、イノベーションを掲げる三井不動産の社内コミュニケーション環境だが「われわれも社内はメール文化。この数年イノベーター関係者と関わって来たが、メールを使う人は皆無だ。パスワードをかけて添付ファイルを送るような仕組みは旧態依然ながらも、道具がなければ大手企業はメールを使ってしまう」(光村氏)からこそ、社外秘情報なども安全に扱えるMicrosoft Teamsに注目したと説明する。