IBMは、IoTやスーパーコンピューティング、モバイルの気圧センサ(個人が情報の共有をオプトインしたもの)を利用して、よりローカルな気象予報をグローバルに提供したいと考えている。
IBMと傘下のThe Weather Companyが、「IBM Global High-Resolution Atmospheric Forecasting System(GRAF)」を発表した。GRAFは、世界中の多数のセンサからのクラウドソースによるデータを利用し、自社の気象モデルに組み込む。
米国、日本、西欧州の一部地域では局地的な気象予報は提供されているが、世界の多くの場所で正確な天気情報がない場合がある。
The Weather CompanyのシニアバイスプレジデントであるMary Glackin氏は、同社は「その空白を埋めようとしている」と述べた。そして、「インドのような場所では、気象観測所が何キロも離れている。これは、衛星データをモデルに組み込むほど重大になりうる」と話した。
例えば、欧米や日本以外の地域は正確さを欠いた予報を利用せざるを得ない状況であり、多くの気象現象を捉えるには広すぎる12~15kmの範囲をカバーする予測となっている。さらに従来、主な気象モデルは6~12時間おきに更新される。GRAFを利用することで、平均1時間ごとに更新され、3kmの解像度を実現したより確実な予報を1日早く提供できるという。
IBMにとってのメリットは何だろうか。天気データはサプライチェーンから製造業、さまざまな産業などあらゆる場面に影響する。気象予報は嵐などの大型な事象にフォーカスしているが、GRAFは雷雨などのより小規模なもの予測を可能にする狙いがある。1月に入り、IBMは天気アプリから収集した追跡データを不正に利用しているとしてロサンゼルス市で訴訟を起こされたと報じられている。The New York Timesによると、位置情報の利用について常に透明性を維持してきたとIBMは主張した。今回発表された新システムは、情報の共有をオプトインしたユーザーのスマートフォンからの情報を活用するという。
将来的に、自動車やビル、そしてウェラブルからのデータが、気象予報モデルにデータを追加することになる可能性があるとGlackin氏は述べている。そして、IBMのスーパーコンピュータでIoTデータからの推論ができる。例えば、もしある地域でコネクテッドカーのフロントガラスのワイパーが動いているとき、モデルは雨が降っていると推論できる。「国の気象システムはやはり必要だが、細かく調整された予報を実現するスケールはない」とGlackin氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。