IBMが人工知能(AI)を活用したデータプラットフォーム事業として、個々の企業向けに各種ツールを提供する一方、自らもデータを活用したサービスの展開に力を入れている。果たして、同社はデータプラットフォーマーとして、「GAFA」(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)と呼ばれる競合と真っ向から対抗するつもりなのか。
「2つの顔」を持つIBMのデータプラットフォーム事業
会見に臨む日本IBMの三澤智光 取締役専務執行役員IBMクラウド事業本部長
日本IBMが9月4日、企業のデジタル化を推進し、AIの導入や新たなビジネスモデル構築に資するデータプラットフォーム事業について記者説明会を開いた。内容は個々の企業がデータプラットフォームを構築・運用するために必要な取り組みや各種ツールを整備・拡充したというものだ。詳しくは既報の「日本企業のデータ活用は基盤整備に課題 ― すぐに利用可能なデータは3割以下」をご覧いただきたい。
筆者はこれを機に、IBMのデータプラットフォーム事業について確認したいことがあった。それは、今回の発表内容である個々の企業向けに各種ツールを提供する一方、自らもデータを活用したサービスを展開する「データプラットフォーマー」として、GAFAと真っ向から対抗するつもりなのか、ということだ。
その前提となるIBMのデータプラットフォーマーとしての取り組みについては、筆者が執筆した2017年4月7日掲載の「今週の明言」連載記事「IBMが描くWatsonビジネスのポテンシャル」をご覧いただきたい。同記事は、IBMのコグニティブコンピューティング技術「Watson」と気象データを融合した企業向けの気象情報提供サービスを、日本IBMが開始したことを取り上げたものだ。
ただ、それ以降、同社はデータプラットフォーマーとしての取り組みをあまり公表していない印象があったので、今回の発表会見の質疑応答で、三澤智光 取締役専務執行役員IBMクラウド事業本部長に聞いてみたところ、まずは個々の企業に向けたビジネスと、自らもデータプラットフォーマーとしてサービスを展開するという「2つの顔をIBMは持っている」としたうえで、「例えば、ヘルスケア分野ではさまざまなデータを収集してWatsonを使って分析することにより、新たな価値を生み出して広く活用していただいている」と説明した。