新たな年がやってきた。筆者は今年も、データやアナリティクス分野の企業トップや著名人が発表した新年に向けての予想を集めて、その共通点を探ってみた。
各社の予想を見渡してみると、2019年のキーワードは人工知能(AI)、データ保護規制、データのガバナンス、Hadoop市場の状況、オープンソース、そして「エッジ」であることが分かってきた。
人工知能に関する予想
人工知能(AI)に関する予想にはばらつきがあり、楽観的で夢見がちなものから、どちらかと言えば懐疑的でうんざりした調子のものまで、幅広い意見が見られた。例えば、SAPの「Leonardo」、機械学習、インテリジェントプロセスオートメーション担当バイスプレジデントDavid Judge氏は、次のような希望に満ちた未来を思い描いている。「2019年には、引き続きAIが人間の仕事をさらに楽なものにし、人間は多くの成果を挙げられるようになる。(中略)労働者は作業を自分で行うか、プロジェクトを機械に任せるかを優先順位に応じて選択するようになる」
一方、Talendの最高技術責任者(CTO)Laurent Bride氏は、もう少し冷静に「データの倫理に関する問題で、AIや機械学習のイノベーションは減速する」と述べている。同氏の主張は、われわれは今、AIに対する盲目的な信仰から抜け出し、実際に有用なものにしようとする過程にあり、以前よりも道徳や倫理のジレンマを深く理解できるようになっているというものだ。同氏は、機械による意思決定に対する公正でバランスの取れたアプローチについて、研究者が議論を尽くそうとする間、短期的にはイノベーションが滞る(消えるわけではない)と考えている。
イノベーションが減速する可能性がある一方で、多くの予想では、AIに関する既存のイノベーションが企業に幅広く導入され、奥行きも深まるとしている。Splice Machineの最高経営責任者(CEO)Monte Zweben氏は、「機械学習は実験の段階から運用の段階に入り、リアルタイムのミッションクリティカルなエンタープライズアプリケーションに組み込まれる」と述べている。Salesforceのアナリティクス担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーKetan Karkhanis氏は、「2019年には、AIを利用したアナリティクス(データの自動発見)が主流になる」と考えている。また、NutanixのゼネラルマネージャーVijay Rayapati氏は、「AIは主流の技術になり、開発者が利用できる新しいAPIとして提供される。これは、インテリジェンスが次世代のビジネスソフトウェアサービスを自律的なものにするための原動力になるためだ」と説明している。
データを守る
しかし、よいデータがなければ、よいAIは実現できない。そして、ガバナンスと規制の遵守なしには、質の高いデータは利用できない。そのため、欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)とともに、ガバナンスやデータカタログの問題が重要になってきている。