機械学習を用いて物を投げるグーグルのTossingBot--さまざまな応用に期待

Greg Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2019-04-16 06:30

 目標に向けて物を正確に投げるという能力は、さまざまな応用が期待できる。物を投げるというのは例えば、足を使って体全体を移動させずに物を運ぶ効率的な手段だ。また、簡単に行けない場所に物を移動させる手段ともなる。アパートのベランダから、道路に立つ友人に向かって鍵を投げ渡すというのはその一例だ。さらに、物を投げるというのはたいていの場合、持って移動するよりも迅速な手段となる。

 Googleの学生リサーチャーであるAndy Zeng氏は「もしもロボットアームがそうした動作を上手にこなせるようになれば、ロボットにできることの幅が広がる」と述べた。

 この発想が、Googleのリサーチャーらとコロンビア大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、プリンストン大学の協力によって新たに開発され、3月の末に発表された物を投げるロボット「TossingBot」の背景にある。


 物を投げ入れるというのは、実際のところ非常に難しい動作だ。人間の場合でも、例えばくしゃくしゃに丸めた紙を、部屋の反対側に置かれたゴミ箱にうまく投げ入れられる確率は、一生涯にわたって練習を積んでも50%を超えればよい方だ。この例における投げ入れるという動作の難しさは、くしゃくしゃに丸めた紙はそれぞれ微妙に異なるため、物理的な背景を考慮することが一筋縄ではいかないという点にある。さらに、さまざまな物体が入った箱の中から順に物を取り出し(例えば、ボーリングのピンの次は卓球のボールといった具合だ)、目標の箱に向かって投げ入れていくという動作では、成功率はより低くなるはずだ。

 ロボットも同様の問題に直面する。エンジニアリングの観点から述べると、1種類の物を正確に投げ入れるためのロボットアームのプログラミングは、さほど難しくない。例えば、バスケットボールをプレイするロボットは、ほぼ完璧な正確さでシュートを成功させることができる。しかし、大きさや重さ、形状がさまざまである場合、それをつかむための独自戦略を練り上げたうえで、物体が弧を描いて目標に向かっていく軌跡をその場で導き出せるロボットをプログラミングする必要が出てくる。

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