NECら、上智大学協力のもと遠隔での体験学習を実施--学生の感情も可視化

大場みのり (編集部)

2019-08-02 17:13

 NEC、携帯電話の販売代理店などを運営するMXモバイリング、ECサイトのコンサルティングを行うクレセントの3社は、上智大学の協力のもと第5世代移動通信システム(5G)に向けたプロジェクトを設立。2019年6月に遠隔教育の体験学習を実施した。

体験学習の概要(出典:NEC、MXモバイリング、クレセント)
体験学習の概要(出典:NEC、MXモバイリング、クレセント)

 遠隔地にいる人を身近に感じられるプラットフォームの構築により、電子商取引(EC)や遠隔ライブなどさまざまな分野で新たな可能性が生まれるという考えから、今回一つの適用例として教育分野を選んだと3社は説明する。

 教育現場では教員が多忙過ぎることに加え、専門領域授業の受講における地域格差が社会課題となっている。そのため、十分にコミュニケーションが取れる授業の実現に取り組むことになったという。

 今回はLTEでネットワークを構築し、上智大学や都内にある各社オフィスの4拠点を結んでプレゼンテーションやディスカッションを実施。各教室やオフィスの様子に臨場感を与えるため、他の拠点の様子を一つの視野に収めるスマートグラスや、参加者のリストバンドを介したNECの感情分析ソリューション、映像データを基にした表情分析ソリューションを利用した。

 感情分析ソリューションは、リストバンド型のデバイスを装着した対象者の心拍変動データなどをリアルタイムで収集・分析することで、興奮や疲労、リラックスなどの感情を可視化するサービス。専用アプリケーションでは、現在の感情や1日の感情履歴などが表示される。表情分析ソリューションは、画像から受講者の表情を読み取り、学校や塾などで受講者が前向きに学習しているかを分析。時系列での表示により、受講者の心理状態を可視化する。

 このプロジェクトにおける各社の役割は、NECが感情分析ソリューション・表情分析ソリューションの提供、プロジェクトの管理、MXモバイリングが双方向映像配信システム、拡張現実のアプリケーション、LTEネットワークの構築、クレセントがプロジェクトリーダーとして全体のコンサルティングを担当。上智大学は、授業「社会的価値創出のためのプロジェクト形成論」において協力した。

 今回の授業を通して、遠隔授でも講師と受講者の双方が臨場感のある授業を体験でき、リアルタイムに受講者の感情を可視化できるという成果が得られたと3社はコメントしている。一方で、音声や映像の遅延などにより講師や受講者がストレスを感じる場面も発見されたという。今後、同プロジェクトではこういった課題に対し、5Gも含めた解決策を模索しながら、新たなサービスの創出に向けて引き続き活動を行っていくとしている。

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