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東工大ら、エッジAI技術で牛の行動観察システムを共同開発--動物福祉の向上へ

大場みのり (編集部)

2019-03-23 08:00

 東京工業大学と信州大学、電通国際情報サービス(ISID)は、エッジAI(人工知能)技術を活用し、牛の行動を観察するシステムを開発した。2021 年の実装を目指し、2019 年4 月から2020 年3 月まで信州大学農学部にて実証実験を行う。ISID が発表した。

 ISIDによると、近年は動物福祉に関する消費者意識が高まり、世界中で動物の福祉を考慮した家畜の育て方が提案されている。だが、動物福祉の実現にはさまざまな管理が必要で、その運用コストが課題となっているという。そこで3者は、酪農、畜産業における動物福祉の普及を研究テーマの一つに掲げ、牛の現象を把握するプラットホームを整備してきた。

 今回開発したシステムでは、通信機能を備えた首輪型センサ「感じて考える首輪」を牛に取り付けてAI処理を行うことで、摂食、歩行、立位といった情報の推定が可能になった。加えて、ISIDのクラウドサービス「FACERE」が牧場内のさまざまな環境データを収集、全てのデータを集約したクラウドのAIが総合的な状態を推定する。

システムのコンセプト(出典:ISID)
システムのコンセプト(出典:ISID)
実験の様子(出典:ISID)
実験の様子(出典:ISID)

 ISIDによると、現在普及している牛用のエッジデバイスでは、測定した牛の動きの加速度を単純に圧縮してBluetoothで送信しているため、検知できる状態が限られる。また通信距離が短いことから、放牧地では利用しづらいという。そこで従来技術を組み合わせ、牛の動きの加速度データをクラウドに送ってAI 処理をすることで、放牧地の牛の状態を推定することが期待されたものの、機器の消費電力が大きく、頻繁な電池の交換や充電が課題だったという。

 そこで今回は、センサにエッジデバイスでAI処理を行うのに必要な高性能かつ低消費電力のプロセッサを搭載するソニーセミコンダクタソリューションズの「SPRESENSE」を採用、東工大が開発した牛行動におけるAI 分析アルゴリズムを組み込んでいる。これにより、歩行や摂食といった行動や状態をAI処理で推定してデータ量を圧縮し、低消費電力、低ビットレート、広域カバレッジの無線技術を活用することで、多状態推定、放牧利用、長期間動作の両立を可能にする。

 ISIDは、4 月からの実証実験でこのシステムを用いて牛の健康状態を把握し、動物福祉に配慮しつつ低コストで飼育管理を実現する仕組みの構築を目指すとしている。

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