NTT、NTTデータ、コンサルティング会社のクニエは、2018年7月に締結した包括連携協定に基づき、横浜市役所で「RPAの有効性検証に関する共同実験」を実施した。RPA (Robotic Process Automation)とは、定型的なPC操作などを人の代わりにソフトウェアロボットに行わせる技術。
今回3社は、横浜市官民データ活用推進計画に掲げた「データやICTを活用した効率的、効果的な行政運営の推進」「働き方改革」「長時間労働是正の取り組み」の一環として、市が行う業務の一部にRPAを試験的に導入し、有効性を検証した。
共同実験では、月報作成、データの収集、入力など、7つの定型業務の一部において、所管部署の職員がNTTデータのRPAツール「WinActor」で手順書を作成し、作業の自動化を試行した。実施期間は、2018年7月から2019年3月までにわたる。
役割は、横浜市が実験場所や市職員の実務に関する知識・経験の提供、NTTが実験のマネジメント、NTTデータがWinActorの提供、操作研修、技術支援、クニエが対象業務の選定、効果検証、検証結果の分析、報告書の取りまとめなどを担当する。
その結果、RPAを試験導入した業務で平均84.9%、最大99.1%の作業時間削減効果を確認したという。一方で、作業手順が変更された場合の対応や、市職員の能力差、事前の業務プロセスの見直し、手書き文字や数字のデジタル化といった課題も認識したという。
追加検証では、課題の一つだった手書きの申請書などを手作業でシステムに入力する作業の解消に向けて、紙の申請書の代わりにタブレットなどから申請できる仕組みを構築した。
タブレットを利用した申請書などの作成では、窓口などで作成した申請書などのデータをQRコード化することなどで、セキュリティを確保しながらRPAがシステムにデータとして取り込むことが可能になり、新たなデジタル化ツールとしての有効性も確認できたという。
今後の取り組みとして、横浜市は「今回、複数の事務作業でWinActorの導入から効果検証までを行った結果、RPAの有効性を確認することができた。一方で、課題も確認したため、RPAの本格導入に向けて検証を進めていきたい」とコメントした。NTT、NTTデータ、クニエは、今後も横浜市との包括連携協定に基づき、働き方改革などに寄与する取り組みを継続していくという。