コンカーは9月9日、経費精算・管理のキャッシュレス化を推進する連携サービスを発表した。2025年までにキャッシュレス決済比率を40%に高めるという経済産業省が進める「キャッシュレス・ビジョン」が背景にあり、同社も「ビジネスキャッシュレス構想」を掲げて出張精算の「Concur Travel」や経費精算の「Concur Expense」、請求書管理の「Concur Invoice」といったサービスで間接業務のキャッシュレス化を進めていく。
具体的には、DiDiモビリティジャパン、ディエールジーピー(DLGB)、エムティーアイ(MTI)の3社との提携を発表。外部のサービスやモバイルアプリと連携できるサービス「SAP Concur App Center」にタクシー配車サービス「DiDi」(DiDiモビリティ運営)を年内に、空港送迎サービス「SmartRyde」(DLGB運営)を12月以降、法人プリペイドサービス「FEEDER法人プリペイドカード(仮)」(MTI運営)を2020年春に新たなサービスとして追加する。
いずれもConcur Expenseに利用明細が自動連携される。QRコード決済連携サービスのうち、経費精算の受け取りは2019年冬以降、経費支払いは2020年以降を検討している。
SAP Concur CRO Christal Bemont氏
米本社SAP Concur最高売上責任者(Chief Revenue Officer:CRO)のChristal Bemont氏は「日本では現金が必要な場面がある。デジタルトランザクションを実現し、データとして格納する方法を選択すれば、企業にとって安全なトランザクションと経費の透明化につながる」と一連の施策の意義を語った。
コンカーが8月に、月1回以上経費精算する会社員515人を対象にした調査によれば、経費支払いでキャッシュレスを望む割合は82%にも及ぶが、実態を見ると70%が現金で精算している。ここに、経費精算の入力方法として自動入力・手動入力の状況を掛け合わせると、現金・手動入力は29%、キャッシュレス・手動入力は53%、キャッシュレス・自動入力を実現する割合は18%という結果が浮き彫りになった。
コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏
あわせて非接触型ICカード決済の利用状況を見ると、交通系ICカードは83%、QRコード決済は44%が利用中。クレジットカードも個人名義の所有は96%と非常に高いが、法人カードは20%と限定的な普及にとどまっている。同社サービスを利用している企業を対象に法人カードの使用率を別途調査したところ、全導入企業は64%、従業員2500人以上の大企業は77%という数値が明らかになった。
同社はビジネスキャッシュレス構想を推進するため、現在に至るまでさまざまな施策を取り組んできている。コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏は、キャッシュレスを実現するには「『ビジネスパーソンの行動変容』『社会基盤の整備』と2つのキードライバーが必要だ」と語る。