荷役機械や建設機械などを製造、販売する加藤製作所(品川区)は営業支援システム(SFA)「Sales Force Assistant」で営業情報の共有と生産効率の向上が実現したという。Sales Force Assistantを開発、販売するNIコンサルティングが1月30日に発表した。
1995年創業の加藤製作所(連結従業員数1258人)は大正時代の機関車に始まり、現在はラフテレーンクレーンやオールテレーンクレーンと呼ばれる種類の荷役機械、ミニショベルや油圧ショベルなどの建設機械を製造、販売している。東証1部上場で日本国内に29の支店や営業所を構えている。中国や欧州にも拠点を構えている。
加藤製作所が取り扱う製品には、オプションの種類が多く、工場で生産する約6カ月前に部品を仕込む必要があるが、部品単価が高額であるために営業情報をもとに事前により正確に見込み予測をすることが長年の経営課題となっている。
2003年から営業から製造までの一気通貫の基幹システムを稼働させているが、この基幹システムでは予測するための情報取得が不十分であり、2007年にグループウェアを導入して日報と引き合い管理することで見込み予測していた。
しかし、営業担当者には基幹システムとグループウェアへの二重入力となり、入力されたデータだけでは不十分のため、電話での確認作業も発生していた。手間と時間がかかることになるとともに予測の正確さにも限界があったという。
2015年頃から進められた会社統合に伴うシステム統合のタイミングで営業支援システムの導入検討が本格的に開始。営業現場からは新しいシステム導入に対する反発も考えられ、いかにトップダウンで導入を進められるかが課題となっていた。
NIコンサルティングを含む3社の製品が検討されたが、経営コンサルタントが上層部への啓発や説得もともに進めるという提案内容や導入後のフォロー体制への安心感からSales Force Assistantの導入を決定、2016年から運用を開始した。
NIコンサルティングでは、国内主要8都市に常駐する経営コンサルタントが、独自の「リモートコンサルティングセンサー」でシステム運用改善のためにコンサルティングを提供。加藤製作所でもリモートコンサルティングセンサーを利用している。
リモートコンサルティングセンサーは、導入システムの運用状況を定期的に監視して、事前に設定した閾値に達した場合にNIコンサルティングに通報メールを送信するという仕組み。通報を受けた専任コンサルタントから連絡を入れて状況を確認して、必要に応じて運用改善のために訪問してアドバイスする。
加藤製作所が提供する製品は単価が高く、商談サイクルは長い場合で20年になることもあり、複数の営業担当者による引き継ぎが生じることも珍しくないという。現在はSales Force Assistantの活用が定着して商談履歴や案件情報も蓄積しているという。