静岡県浜松市は、年間約30万件に及ぶ支出命令伝票を決裁・審査する市役所の業務に人工知能(AI)を活用する実証実験を2019年6~12月まで実施した。その結果、会計課の出納審査業務で年間約4600件の不備伝票への対応が不要になり、年間約871時間の削減が見込めることが分かった。支出業務に関わる市役所業務全体で見ると合計で年間最大約1597時間の業務時間削減につながるという。
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同実証では、ディープラーニング(深層学習)を用いて印鑑の印影を自動検出する富士通総研の物体検出技術と、帳票内の情報を自動検出するPFUのAI-OCR(AIを組み合わせた光学文字認識)技術を活用した。これにより伝票や請求書の確認項目や不備を審査部門の確認前にAIが検出し、その結果を使って起案直後にシステム上で起案者や決裁者に通知できるようにした。決済者と審査者の間で差し戻しの発生を防げるため業務を効率化できる。PFUのAI-OCR技術は同社の業務用OCRソフト「DynaEye」を使った。
実証の結果、AIが90%以上の精度で、起票された伝票と請求書の確認対象項目を自動検知することに成功した。伝票起票部門での再起票や再決裁の業務が不要となり、年間約726時間の業務削減が見込まれる。
今後、浜松市は、検証環境で試験運用を進め費用対効果を確認した上で導入を検討していく。富士通は、自治体職員の働き方改革(オフィス改革、テレワーク)の第一弾として、2020年度中に公共団体向けソリューション「FUJITSU 自治体ソリューション IPKNOWLEDGE」に今回検証した機能を搭載する予定だ。