英国のAI(人工知能)スタートアップであるTractable(トラクタブル)は3月26日、自動車の損傷画像から損害査定業務を自動化する新たな損害保険会社向けソリューションを発表した。
現在、自動車の損害査定業務は主に損害保険会社の専門家によって実施されている。新たなソリューションは、その業務の一部をAIで自動化するものになる。具体的には、自動車の損傷画像をもとに、車両のどの部位が、どの程度損傷しているか判定し、修理方法や概算修理金額などを算定する。
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これにより、保険加入者は事故などに遭った自動車の損傷画像をスマートフォンで保険会社に送信するだけで、数分以内に全損などの判定結果が分かるようになるという。
Tractableでは、画像認識にディープラーニング技術を活用しており、何百万枚に及ぶ自動車の損傷画像とさまざまな事例分析を用いてAIを学習させている。これまで、仏大手のCovéa、ポーランドのTalanx-Wartaなど、世界中の大手損害保険会社と累計1000億円以上の損害査定をAIで処理した実績があるという。
新ソリューションは、日本を含め、世界中で展開する予定。既に英損害会社のAgeasでは2019年にトライアルを終えて実装中という。また今後は、損害保険会社だけでなく、自動車修理工場やディーラー向けに、画像をもとに見積作成業務の一部を自動化するソリューションも展開する予定としている。