アクセンチュアは7月7日、2015年に400社以上に実施した世界の保険会社のマーケティングや営業の調査に関する説明会を開催した。調査では「デジタル化の加速」「保険会社と代理店の役割の再定義」「イノベーション」など3つのトレンドが見られたという。海外では顧客データやAIを活用したサービスが立ち上がりつつあり、日本におけるデジタル化の取り組みの遅れを示す結果が出た。
デジタル化の加速
自動車保険の領域では現在、紙での申し込み処理をタブレットで代替する「申込処理のデジタル完結(24%)」といった活用が推進されつつあり、既にデジタル化が一定水準進んでいる。3年後までに約半数の保険会社が「商品情報の提供」や「見積の取得」など販売プロセスのデジタル化を進めるという。
生命保険では、申込時の必要提出書類や審査が損害保険よりも厳しく、例えば「申込処理のデジタル完結(20%)」という数字は自動車保険に比べ低い。一方、2015年にライフネット生命保険が、契約時の必要書類を携帯カメラで撮影しウェブサイトから提出できるサービスを開始し、デジタル化の潮流があるという。
デジタル投資実行中または計画策定済みと回答した割合は、それぞれドイツ(45%)、米国(38%)、イギリス(37%)であるのに対し、日本は(13%)程度という結果が出た。
各国のデジタル化に対する投資スタンス 日本を除く成熟国では、デジタル投資への意欲が圧倒的に高い。中国は基幹系システム・プロセスの整備を優先する意向(アクセンチュア提供)
保険会社と代理店の役割の再定義
デジタル化により、顧客と接点をもつチャネルのバリエーションが増え、各国の保険会社では、顧客データの一元化に取り組んでいるという。
保険会社が代理店に対しより高度な管理体制を築くための施策として、(1) 顧客の人生設計や行動特性などを分析することを目的にした「保険会社と代理店の顧客を一元管理する基盤構築」 (47%)、(2) 自社に利益をもたらす“優良顧客”を発掘するために「顧客セグメンテーションを担う機能」(47%)を重視するという結果が出た。日本では保険会社と代理店間で顧客情報を一元管理する施策は17%にとどまった。
一方、直接顧客との接点をもつ代理店は、「ソーシャルを活用したマーケティング(50%)」や「顧客との継続的なコミュニケーション(44%)」など販売後の施策に取り組むという。顧客の趣味趣向や健康状態といったデータを収集、統合し、持続的な関係構築のための施策が必要になるとした。