IDC Japanは4月9日、2019年第4四半期(10~12月)と2019年通年(1~12月)の国内外付型エンタープライズストレージシステム市場の支出額実績を発表した。2019年第4四半期の支出額は513億6700万円で前年同期比9.0%増、2019年通年は2080億5900万円で前年比10.8%増だった。
セグメント別に見ると、2019年第4四半期はメインフレーム向けが86億4200万円(前年同期比188.4%増)、オープンシステム向けが427億2500万円(同3.1%減)だった。前年の落ち込みが大きかったメインフレーム向けは、2四半期連続で倍以上に伸長した。オープンシステム向けは、前期に続きマイナス成長だった。
2019年通年では、メインフレーム向けが250億4700万円(前年比56.5%増)、オープンシステム向けが1830億1200万円(同6.5%増)だった。メインフレーム向けでは、更新需要の端境期であった前年の反動に加え、オールフラッシュアレイの新製品がけん引した。オープンシステム向けは、ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)のアプライアンス製品が好調であったことに加え、クラウドサービスプロバイダー向けの需要が寄与した。クラス別では、好調なハイエンドやミッドレンジに対し、エントリーはクラウドへのシフトによって2桁のマイナス成長だった。
2019年は、前年に続きハードディスクドライブ(HDD)からフラッシュへと搭載メディアの移行が進んだ。同年の支出額の中で、オールフラッシュアレイ(AFA)は549億8100万円(前年比26.8%増)だった。この結果、同年の支出額に占めるAFAの割合は26.4%となった。
2019年通年の売上額は1972億1500万円だった。ベンダーの上位5社は日立製作所(シェア18.7%)、富士通(同15.4%)、デルテクノロジーズ(同14.8%)、NetApp(同9.0%)、IBM(同8.0%)だった。日立が単独1位となり、第4四半期もメインフレーム向けが好調だったIBMが5位を獲得した。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ シニアマーケットアナリストの加藤慎也氏は「2019年は変化の大きい1年となった。2013年以来となる2桁のプラス成長には、上半期はオープンシステム向け、下半期はメインフレーム向けが寄与した。しかし、オープンシステム向けをけん引するクラウドサービスプロバイダー向けの需要も、大きく落ち込んだ前年の反動で増加したメインフレーム向けも、2020年には落ち着くと見ている」とコメントする。
さらに、「一方、国内資本大手3社の合計シェアは調査開始以来最も低く、ユーザーが個々のビジネスに即したハイブリッドクラウドによる最適化を進めることで、AFAやHCIをてこに市場シェアが大きく変動する可能性もある。このような変化の中でストレージベンダーは、顧客における自社のポジションを理解し、取り扱い製品の強化や提供方法の柔軟性の確保、従来と異なる販路の開拓など、変化の中でも収益を得ていくための取り組みが求められる」と分析した
国内外付型エンタープライズストレージシステム市場の支出額推移、2013~2019年(出典:IDC Japan)