オブジェクトストレージシステムにおける独立ベンダーのクラウディアンは、2020年度の事業戦略を発表した。これによると、グローバルで2018年から2019年にかけて業績が3倍強向上した勢いに乗り、2020年度は2019年の2倍以上の売上を目指すという。
この目標を達成するため、ディストリビューターとの連携強化やVMwareとの連携強化によるサービスプロバイダー市場の拡大、アライアンスパートナー戦略の拡充による独自の強力なソリューション提供を実施していく。
クラウディアンは2019年、ネットワールドとディストリビューション契約を締結し、成功を収めたとしている。今期は協力関係をさらに強化し、ネットワールドが強みとするサービスプロバイダー、メーカー、エンターテインメント、政府機関、金融業界などの市場に対して、日本国内の積極的なセールスを展開していく。また、ネットワールドはVMwareのディストリビューターでもあり、顧客ベースのチャネルを提供でき、売り上げへの貢献が期待されるという。今後は、金融や小売などのマーケットに強い販売・ソリューション提供会社との新たな連携を開拓し、新規市場に進出していく。
VMwareは完全統合連携するオブジェクトストレージ製品として、グローバルで初めてクラウディアンの「HyperStore」を選択。また最近、海外ではKubernetes環境への導入・運用管理ソリューション「VMware Tanzu」を介して、アプリケーションのデータリポジトリーとしてより多くの企業が利用できるよう、VMwareとの連携ソリューションが増えている。さらに日本においても、コンテナーの運用管理と自動化を目的に設計されたKubernetesへの関心が高く、VMware Tanzuによって利用しやすくなったこの先端技術との連携が注目されている。こうした背景からクラウディアンは、VMwareとの連携によるサービスプロバイダー市場の拡大を図っていく。
アライアンスパートナー戦略では現在、ワールドワイドでスイスのVeeam Software、米国のSplunkやPure Storageなどと緊密に連携し、独自の強力なソリューションを提供しているが、今後はこれらの企業とさらに密接に連携していく。
製品戦略では、HyperStoreのオブジェクトストレージのインスタンスを仮想化・コンテナー化することで、Spark、Presto、Tensorflowなどの分析ツールから直接アクセスできるようになり、KubernetesやVMware Tanzuなどのオーケストレーターから直接のデプロイが可能になる。また、Seagateとのパートナーシップにより、業界で最大容量の4Uユニット(物理容量1.5PB)を2019年8月から提供しており、今後もより一層の高密度製品を提供していくという。さらに、より高速なCPUとGPUを含むアップグレードされたプラットフォームにより、ML(機械学習)やAI(人工知能)サービスでデータへの直接アクセスを可能にし、ネットワークのボトルネック問題を解消していく。そして今後は、政府機関と金融業界が必要とする強力な認証ポートフォリオをさらに拡大・強化する。