PTCは米国時間6月9日、年次イベント「LiveWorx 2020」をオンラインで開催した。同社のプレジデント兼最高経営責任者(CEO)であるJim Heppelmann(ジム・ヘプルマン)氏は、「Disrupted: Lessons Learned and the Path Forward(破壊: 学んだ教訓と進むべき道)」と題した基調講演で新型コロナウイルスの影響に触れつつ、「パンデミックの時期が過ぎた後も、今後はもっと(テレワークのような)働き方を取り入れるべきだと考えている」と述べ、ニューノーマル(新常態)への対応をうながした。
ニューノーマルへ対応するために企業が備えるべきスキルとして、Heppelmann氏は以下の4つを挙げた。
(1)Workforce Mobility & Resiliency(労働力の機動性と回復力)
(2)Flexible & Innovative Supply Chains(柔軟で革新的なサプライチェーン)
(3)Front-line Workforce Connectivity & Collaboration(最前線にある労働力とのつながりと共同作業)
(4)Remote Monitoring of Products Factories(工場の遠隔監視)
PTC プレジデント兼CEO Jim Heppelmann氏
(1)の「労働力の機動性と回復力」というスキルについて同氏は「多くの知識労働者は難なく自宅勤務へ移行できたが、エンジニアリングの組織は(テレワーク移行に)苦労した」と多くのCEOや世界的な製造企業から聞いた話を披露した。
業務利用するワークステーションと同等のPCを自宅に持たない従業員は、デスクトップ仮想化基盤(VDI)の利用を強いられるが、VPN回線などネットワークインフラストラクチャーの整備を求められるため、「理想的ではなかった。クラウドに移行しなければならない」(Heppelmann氏)と強調した。
新型コロナウイルスの世界的大流行以前から、PTCはこの結論に達し、2019年11月に4億7000万ドルでクラウド3D CADメーカーのOnshapeを買収したという。同氏は「次世代のピュアSaaS CADやPLMオファリングをもたらし、マルチテナントのSaaSプラットフォーム『Atlas Platform』の提供が可能になる」と述べている。
(2)の「柔軟で革新的なサプライチェーン」については、「即興のパートナーが容易に加わり、新製品の設計と製造のために協力しながら、皆のアイデアを混ぜ合わせる」(Heppelmann氏)ことを意味する。そのためには各企業で扱うデータの交換を容易にするため、使用するソフトウェアのバージョンを統一しなければならない。