(4)の「工場の遠隔監視」は、限られた在宅勤務の従業員で実現する企業の事業継続を指す。IoTリモート監視やリモートサービスを活用することで、危機的な環境下での活動時間を軽減し、「顧客との関係を変化させる」(Heppelmann氏)という。
医療機器メーカーのElktaは平均60時間ものダウンタイムが発生していたが、PTCの「ThingWorxインダストリアル・イノベーション・プラットフォーム」をMicrosoft Azure上で展開することで平均15時間に短縮。さらにサービスに関わる問題の約50%を技術者が訪問することなく解決可能にしたという。Heppelmann氏は「新型コロナウイルスの影響下では技術者の訪問は難しい。だが、IoTサービスのおかげで現在は効率的になった」と語る。
エアバッグやシートベルトを製造する自動車サプライヤーのAutolivは、PTCのIoT関連製品で品質維持や信頼性に関わる問題をリアルタイムで検出可能にした
Heppelmann氏は「4つのスキルにより企業は生き残るだけではなく、ビジネスや労働力全体の俊敏性や柔軟性、モビリティのレベルが向上し、繁栄できる」と述べつつ、今後の展望として、デジタルと現実世界を融合させる“空間コンピューティング”に注力することを明かした。
「Wordは書類を仮想化し、Zoomは労働者の知識を仮想化した。CADやPLM(製品ライフサイクル管理)は製品を仮想化する方法である」とHeppelmann氏は空間コンピューティングを定義しつつ、「IoT、AR、CAD、PLMから得た知識と同じワークスペースでカメラが目にするものと統合できる」と述べた。
その一端はARアプリケーション開発ツール「Vuforia Spatial Toolbox」に込められており、将来的には「労働者や機械と交流するために仕事場へ行く必要がなくなる」(Heppelmann氏)と予見した。
※005空間コンピューティング環境を探索するためPTC Reality Labが開発した「Vuforia Spatial Toolbox」