理化学研究所(理研)と富士通は、理研が運用するスーパーコンピューターシステム「富岳」が、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の性能評価となる「TOP500」「HPCG」「HPL-AI」「Graph500」で世界1位を獲得したと発表した。富岳は2021年度の共用開始を予定している。
2021年度から共用される「富岳」システム(出典:理化学研究所)
TOP500では、富岳システム全体の約95.6%となる396筐体(15万2064ノード)の構成により、LINPACK性能で415.53ペタフロップス、実行効率で80.87%を記録した。TOP500での首位は「京」が獲得した2011年11月以来となる。
HPCG(High Performance Conjugate Gradient)は、共役勾配法の処理速度の国際的なランキングに当たり、測定では全体の約87%となる360筐体(13万8240ノード)で1万3400テラフロップスを記録した。HPL-AIは、2019年9月に制定された人工知能(AI)計算などで活用される単精度や半精度演算器などの能力も加味した計算性能を評価する。測定には全体の約79.7%に当たる330筐体(12万6720ノード)を用い、1.421エクサフロップスを記録した。
ビッグデータ解析などの性能評価となるGraph500では、理研と富士通、九州大学、フィックスターズによる共同研究グループが測定を行った。全体の約58%に当たる9万2160ノードを用いて、約1兆1000億個の頂点と17兆6000万個の枝から構成される超大規模グラフに対する幅優先探索問題を平均0.25秒で解くことに成功した。Graph500スコアは7万980ギガテップスで、京の測定結果の3万1302ギガテップス(2019年6月時点)の2倍以上の性能向上を達成した。