アクロニス・ジャパンは8月21日、マルウェア対策機能を統合したバックアップソフト「Acronis True Image 2021」を発表した。個人や小規模事業者を対象に、アクロニスオンラインストアでは8月21日から、販売パートナーや大手家電量販店では9月18日から提供を開始。年内には大手家電量販店向けにクラウドストレージ付き永続ライセンス版の販売も予定している。
代表取締役 嘉規邦伸氏は個人データの保護やゼロトラストネットワークに代表されるセキュリティ対策の変化、コロナ禍や災害対策を理由に「個人にも法人並みのデータ保護が必要な時代になった」と強調した。7月20日以降に前版であるTrue Image 2020の永続ライセンス版を購入、有効化した利用者は新版のTrue Image 2021が無償で提供される。
アクロニス・ジャパン 代表取締役 嘉規邦伸氏
アクロニス・ジャパン マーケティング統括部 統括部長 夏秋朋史氏
True Imageシリーズは多角的にデータ保護を強化してきた。True Image 2018ではランサムウェアからデータを保護する機能「Acronis Active Protection」を実装してきたが、最新版では、保護範囲をウイルスや身代金を要求するランサムウェア、仮想通貨獲得を目的としたクリプトジャッキングに拡大している。
その理由としてマーケティング統括部 統括部長 夏秋朋史氏は「従来はバックアップデータの改変やソフトウェアへの攻撃に対する解決策を持っていなかった。だが、バックアップツールとウイルス対策ツールと異なるソリューションは互いを補完せず、エアポケット(晴天乱気流)ができてしまう」と説明し、マルウェア対策機能の強化と、法人向けの「Acronis Cyber Backup」で実装した一部の機能をTrue Image 2021に導入した。同社はバックアップとマルウェア対策を1つに統合したTrue Image 2021について「パーソナルサイバープロテクション」というキーワードを用いている。
True Image 2021はバックアップやマルウェア対策機能を統合することで「専任の情報システム管理者を用意できない小規模の企業は1つのコンソールから(複数PCを)管理できる」(夏秋氏)という。
強化されたマルウェア対策機能は、署名ベースの静的エンジンを用いたリアルタイム保護やオンデマンドスキャン、オンライン会議の保護機能を備える。具体的にはZoomやCisco WebEx、Microsoft Teamsのプロセス監視や不正なコードを注入するコードインジェクション攻撃を保護し、チャットデータやオンライン会議への予期せぬ参加者侵入などを保護する。
また、IPアドレスとホスト名の対応を記述するhostsファイルの改変を検出する機能や悪意のあるウェブサイトをブロックする機能も加わっている。夏秋氏は「バックアップソリューションが主体の弊社がマルウェア対策といっても違和感を覚えるだろう」と述べながら、2019年は50万件以上のランサムウェア攻撃を阻止した成果を披露した。
※クリックすると拡大画像が見られます
本体であるバックアップ機能もいくつかの機能強化を加えている。バックアップ中断時のデータ重複を回避するレプリケーション機能や、最新バックアップデータの復元可能性を検証するクイックバックアップベリファイ機能、バックアップデータの移動や名称変更、VHD形式への変換機能が新たに加わった。
また、後述するAdvancedやPremiumといった上位エディションでは、マルウェアスキャン時のCPU負荷を抑制するための機能が使用できる。同機能無効時はCPUリソースを90%まで使用でいるが、有効時は60%まで抑制することで他のアプリケーションを優先する仕組みだ。