デル・テクノロジーズは11月27日、「Dell Technologies Forum 2020 Japan」を開催した。毎年世界各地で開催している年次イベントで、今年はオンラインイベントとして開催。同社グループ企業やビジネスパートナーなどが、基調講演やブレイクアウトセッション、バーチャルEXPOなどを通じて、デジタル変革(DX)を実現するための幅広いソリューションや最先端技術を紹介した。
基調講演には、米Dell Technologies プレジデント兼最高技術責任者(CTO)プロダクト&オペレーション担当のJohn Roese氏が登壇。デル・テクノロジーズの大塚俊彦社長は、「New Normal時代を勝ち抜くデジタル変革-企業が抱える課題と、成功に導く四つの柱」と題して、日本における同社の取り組みについて説明した。
Dell Technologies 会長兼CEOのMichael Dell氏
また、メッセージを寄せたDell Technologies会長兼CEO(最高経営責任者)のMichael Dell氏は、「DXを加速する組織は成功への道をたどっている。われわれは目前の機会に注力し、データ時代の基幹となるインフラを構築し、最も信頼されるパートナーとなり、自動化されたインテリジェントな統合ソリューションでDXを推進していく。みなさんの変革を支援できることは大きな喜びだ」と述べた。
基調講演に登場したRoese氏は、DXの加速をテーマに、「(コロナ禍の)パンデミック以前に戻ることはない。デル社員の60%がテレワークまたは週1、2日のオフィス勤務というハイブリッドな働き方をしている。これはデルに限らず、あらゆる規模の企業で在宅勤務が20%増加すると見られる」と語り始めた。
Dell Technologies プレジデント兼CTOプロダクト&オペレーション担当のJohn Roese氏
また、「世界中の子供の半分が遠隔教育で学んでいる」と生活の変化について言及。その一方で、米国小売業における2020年第2四半期のオンライン売上高は前年同期比44%増の2000億ドル強と高い成長を遂げ、デルの成長はそれをさらに上回り、コンシューマー向けオンラインビジネスは79%増となっているとした。、「4~6月は5ドルの注文のうち1ドルはウェブによる注文。これは大きな変化で、テクノロジーがそれを支えている。DXはあらゆる場所で生まれている」などとした。
同社の調査によると、8割の企業がDXプログラムを加速させたほか、デジタルリーダーの96%がデータを収集する能力やデータを分析する能力、それに基づいて行動する能力によって現状に適応し、生き残ることができたと回答したという。Roese氏は、「“第4次産業革命”が予定よりも早く来た。今後3年間で5G(第5世代移動体通信)接続や自律型マシン、データをもとにした知見、埋め込み型の知能が活用され、スマート社会やスマート工場、スマート病院、スマート学校も台頭する。これらの動きはエッジで見られる変化で、エッジはあらゆるセクターのDXの中心になる」とした。
同社予測によると、今後4年間でエッジに配置されるアプリケーションは800%増加し、世界のデータの75%がデータセンターやクラウド以外の場所で生成・利用されるという。2023年の世界のGDPに占めるデジタルの割合は52%になるとし、Roese氏は「大量データが高速移動し、イノベーションと知見が加速され、複数のクラウドとエッジでデータが利用される。それがハイブリッドクラウドアーキテクチャーに対する需要を生み出し、高い接続性とデータ集約、データ分散の未来を可能にする6つの領域のITイノベーションが重要になる」と述べた。
6つの領域は、パブリックとプラトベートのクラウド、エッジの環境にまたがる「ハイブリッドクラウド」、リアルタイムにデータやワークロードを管理・分析するモダンなITアーキテクチャーを統合しハイブリッドクラウドの延長線上に位置付けられる「エッジ」、次世代通信システムでインテリジェントな接続を支える「5G」、新たなワークロードやデータを高速に処理・自動化・高度化した環境を実現する「AI/ML(人工知能/機械学習)」、一貫性のある管理システムとしてデータを相互接続する「データ管理」、データをビジネスの中心として活用するための回復性や自己防衛・組み込みによって実現される「セキュリティ」となる。
そしてRoese氏は、「高度に自動化され、インテリジェンスと回復性に優れた未来のITインフラストラクチャーを提供できるのはデル・テクノロジーズだ」とした。ノートPCなどのラインアップを刷新し、サーバーやストレージなどのインフラストラクチャー製品のポートフォリオも強化。Dell Technologies Cloudを拡張したことなどを紹介し、「新たなポートフォリオによりas-a-Servicesモデルと従量課金モデルの需要を高め、スピード、スケール、セキュリティ、コスト削減を一つのエクスペリエンスとして実現し、導入しやすく、テクノロジーの管理が容易になり、組織がビジネスの実行に集中できるようになる」とした。
新たなテクノロジーの応用先として教育、ヘルスケア、スマートモビリティーを示し、「マルチクラウド、データ、AIテクノロジーが活用され、未来のエクスペリエンスが実現される。それを支えるのがモダンなエンドツーエンドのITシステムであり、6つの領域が重要な戦略的テクノロジーとなる」と述べたほか、デル・テクノロジーズとして、「世界170カ国、6万人のプロフェッショナルが最適な方向性とアプローチを特定するための支援を行う。顧客は未来のデジタルへの道のりを歩む準備ができる。これを支援するのがデルミッション」と述べた。