シリコンバレーを代表する大企業の1つであるGoogleで、新たに労働組合が結成された。同社では数年前から、経営陣に対して変化を求める従業員らの抗議が相次いでいたが、米国時間1月4日には同社と親会社Alphabetで働く約230人の従業員が参加する労働組合「Alphabet Workers Union」の結成が発表された。参加者はこの組合について、「Don't Be Evil(邪悪になるな)」という同社の当初のモットーを推進するものになるとしている。
提供:James Martin/CNET
正式な労働組合の結成にこれまで否定的だったIT業界で、今回のGoogle従業員による組合結成は異例の動きといえる。ただし、IT業界では近年、積極的に活動しようという気運の高まりがみられ、国境監視や気候変動などさまざまな問題について一般社員が声高に意見を述べるようになっている。今回の発表はそうした状況を反映したものといえる。
Googleのこの労働組合は、アメリカ通信労働組合(CWA)の支援を受けており、Alphabet関連企業のすべての従業員が加入できる。発表によると、この労働組合は、有料会員、選任役員、有給の運営スタッフで構成されるという。ただし、全米労働関係委員会(NLRB)による認可は求めないと報じられている。つまり、団体交渉権は持たないということだ。
「われわれは、Alphabetを築き上げた従業員だ。コードの作成、オフィスの清掃、食事の用意、バスの運転、自動運転車の試験など、この巨大企業が操業し続けるために必要なすべての作業を行っている」と、GoogleのエンジニアでAlphabet Workers Unionの委員長と副委員長をそれぞれ務めるParul Koul氏とChewy Shaw氏は、The New York Times(NYT)に寄稿した4日付の論説記事に記した。「Alphabetに対し、われわれとわれわれが暮らす社会に影響を及ぼす決断について、従業員が意味のある発言権を持つ企業になってもらいたい」(両氏)
Googleはここ数年間、IT業界における抗議活動の象徴的存在だった。2018年には、上級幹部のセクハラ行為をめぐる申し立てへの同社の対応に抗議して、世界各地の拠点で働く2万人を超える従業員がストライキを決行。また従業員らが同社の米軍との契約や中国での取り組みに反対したこともあった。
Googleは4日、従業員を支援する職場の構築を目指すと述べた。「当社は人材を支援し報いる職場を作り出すことに絶えず注力してきた」と、同社で人事を統括するKara Silverstein氏は述べ、「もちろん当社の従業員は、保護された労働者の権利を有しており、当社もこれを支持している。それでも当社はこれまでと同様、今後もすべての従業員と直接関わっていく」とした。
Koul氏とShaw氏は論説記事の中で、Googleが「世界中の圧制的な政府」に協力していること、「ヘイトグループによる広告」から利益を得ていること、有色人種の従業員の維持問題に対処できていないことに対する、従業員らの懸念を表明している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。