Raspberry Pi Foundationが4ドルの「Raspberry Pi Pico」を発表し、マイクロコントローラー市場に参入した。Raspberry Pi Picoは、同団体独自のカスタムチップをベースとする全く新しいハードウェアだ。
Raspberry Pi Picoは、英国を拠点とするRaspberry Pi Foundation初のマイクロコントローラーボードであり、新しい「RP2040」チップを中心に構築されている。
従来のPiボードだと、物理デバイス(ロボットや気球など)を制御したければ、マイクロコントローラーと組み合わせる必要があるが、Picoはエンドデバイスへの直接的なアナログ接続を提供することにより、ハードウェアとソフトウェアを隔てるそうした溝を埋めている。
Raspberry Pi Foundationの最高執行責任者(COO)兼ハードウェア担当リードのJames Adams氏は、このテクノロジーが機能する仕組みについて、より技術的に説得力のある説明をしている。「『Raspberry Pi』は単体ではアナログ入力をサポートしない。Raspberry Piで『ベアメタル』ソフトウェアを実行することは可能だが、『Linux』などの汎用OSで実行されるソフトウェアは、個々のI/Oピンの低遅延制御にあまり適していない」(Adams氏)
「多くの愛好家や産業用アプリケーションは、Raspberry Piをマイクロコントローラーと組み合わせている。Raspberry Piは高負荷の計算やネットワークアクセス、ストレージを担当する。一方、マイクロコントローラーはアナログ入力と低遅延I/Oを処理するほか、超低消費電力のスタンバイモードを提供することもある」
新しいRP2040は、Raspberry Pi Foundationが独自に設計した初めてのチップである。Adams氏の説明によると、Raspberry Pi Foundationが同団体初のマイクロコントローラー製品に望むものを達成するためには、チップを一から開発するしかなかったという。その望むものとは具体的に言うと、高性能で柔軟なI/Oを手頃な価格で提供することだった。
そうして完成したチップについて、Adams氏は「信じられないほど強力な小型チップ」と評している。RP2040は、133MHzのデュアルコアCPU「Arm Cortex M0+」と264KBのオンチップRAMで構成されており、最大16MBのオフチップフラッシュメモリーをサポートする。さらに、USB 1.1と30本のGPIO端子(4本はアナログ出力として使用可能)も備える。
これらすべてが、わずか2平方mmの40ナノメートルチップだけを含む7×7mmの超小型パッケージに詰め込まれている。RP2040は機械学習アプリケーションに最適なので、ユーザーが使用を開始しやすいように、「TensorFlow Lite」と「MicroPython」の両方がRP2040向けにポーティングされている。
パワーユーザー向けに、「C」プログラミング言語の完全なSDKのほか、「Visual Studio Code」との統合も提供されている。
Raspberry Pi Picoボード自体は、RP2040を2MBのフラッシュメモリーと組み合わせている。電源チップは1.5~5.5Vの入力電圧をサポートする。つまり、USBのほか、単三電池やリチウムイオンバッテリーでも電力を供給できる。ボードのサイズは21mm×51mmで、Picoをマスストレージモードで起動させるプッシュボタンが1つ搭載されている。
Raspberry Pi Picoは英国時間1月21日より、オンラインでの販売が開始されている。「Hackspace」誌の最新号には、無料のPicoボードが付録として含まれている。
AdafruitやArduino、Pimoroni、SparkfunもRP2040プラットフォーム向けにさまざまなアクセサリーを設計しており、先行予約の受付が開始されている。
Raspberry Pi Picoは、Raspberry Pi初のマイクロコントローラーボードだ。
提供: Raspberry Pi
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。