データベースの再構成はどう考えるか?
RDBMSの再構成となると正規化のメリット、デメリットといった議論も出てくるが、それはRDBMS共通の課題であるため、ここではDB2 for IBM i(DB2 for i)に特化した再構成に触れたいと思う。
IBM iの前身の一つである「System/38」は、1979年にリリースされたRDBMSをシステムの中核部分に組み込んだデータベースマシンだった。標準SQL規格は1986年発表のため、System/38を開発している1970年代当時では、データの定義や操作に関する独自の方法が必要となった。
IBM iはこの時作られたデータ定義仕様のData Definition Specification(DDS)を踏襲しており、多くのユーザーがまだデータベースを定義している。
だが、現在はDDSに関連する機能拡張は止まっており、どんどん拡張されてきているオープンシステムの機能との剥離が起きている。一方、IBM iは標準SQL規格に則ったData Definition Language(DDL)、Data Manipulation Language(DML)、Data Control Language(DCL)も実装しており、バージョンアップごとに機能強化と拡張がおこなわれている。
よって、DDSをDDLに再定義して、物理ファイル、論理ファイルをテーブル、インデックス、ビューとすることで、パフォーマンスアップやウェブサービスに応用の利く新機能を利用することが可能となる(※注:DDSで定義されたDBも外部インターフェースからは見かけ上、テーブル、インデックス、ビューとして利用できるが、実体は物理ファイル、論理ファイルである)。
IBM i(AS/400)の旧来型アプリケーションはIBM i上でオープン化できることを理解いただけただろうか。
次回は、「ホワイトボックスオフコンの更なる近代化とは」と題し、旧来型アプリケーションと新しいアーキテクチャで作られたアプリケーションを連動したモダナイゼーションや、クラウドとの連携など更なるIBM iアプリケーションの進化の方法に話を進めたいと思う。
(第5回は3月中旬にて掲載予定)

- 阿野 幸裕(あの ゆきひろ)
- ジーアールソリューションズ
- モダナイゼーション事業部長
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大学卒業後、トーメン情報システムズで、IBMメインフレーム、ミッドレンジコンピューター、UNIXなどのシステム開発を経験後、1995年よりSybaseやSASなどの外資系ソフトベンダーにてプリセールスエンジニアとして従事。
2020年4月から、その経験を生かし、ジーアールソリューションズに入社。以来、同社が独占販売権を持つカナダFresche solution社の製品を中核としたモダナイゼーション事業に参画している。