1971年、Ray Tomlinson氏は1通の電子メールを初めてデジタル空間に送った。その後の数十年間で、電子メールは遠隔地でのコラボレーションを一変させ、コンピューター工学の先駆的な出来事から、多くの労働者にとって9時〜5時までの仕事の一部として広く浸透するまでに進化した。電子商取引のウェブスタジオであるTaskHuskyは米国時間5月16日、「The State of Email Addiction in America」(米国における電子メール中毒の現状)と題する記事を投稿し、メールをチェックする習慣について、州別、年齢層別などにデータを解析して紹介した。
1日に十数回も受信トレイをチェックする人や、メールのせいで寝不足になる人もいるが、そういった習慣が「中毒」だと見なされることはほとんどないだろう。
「特にパンデミックの時期には、電話中毒や画面を見ている時間の増加がしきりに話題になっていたため、メール中毒の実態を探ることに大いに興味を引かれた。少なくともある程度はメールに依存している人がいることは予想していたが、メールが人々をどれほど支配しているかを目の当たりにして驚いた」と、TaskHuskyのリサーチアシスタントであるKalina MacKay氏は語っている。
受信トレイの確認と電子メールのストレス要因
同報告書は、4月下旬から5月上旬にかけて、米国の成人2342人を対象に実施した調査を基に作成された。回答者は、1日当たり平均14回メールをチェックし、1日当たり平均1.69時間を「メールの確認と返信」に費やしていると答えた。
回答者は1日に十数回以上メールを確認すると答えたにもかかわらず、未加工のデータセットによると、自分をメール中毒だと見なしている回答者は5分の1以下(18.3%)に過ぎなかった。回答者の4分の1近くは仕事のメールが原因で睡眠不足になったと回答し、57%がメールに「迅速に」返信するよう「プレッシャーを感じる」と答え、約半数(52.8%)の回答者は、緊急性の低いメールにも4時間以内に返信していると答えた。
電子メールに関連する最大のストレス要因は、「フォーマルな返信を作成すること」、「迅速に」返信すること、そして整然とした受信トレイを維持することの順となった。興味深いのは、60%の回答者が、受信トレイに「未読メールがない」ことが重要だと思うと答え、約半数(48.5%)は、未読メールに対して「不安を感じる」と答えていることだ。
世代別のメール習慣
報告書の一部では、年齢層と性別に分けて回答者のデータが示されている。男性は女性に比べ、メールに迅速に返信しなければならないというプレッシャーを感じにくい。TaskHuskyの未加工データによると、男性は平均して1日に16回受信トレイを確認すると答えており、女性(13回)よりもわずかに多いようだ。Z世代では、「定期的に」メールをチェックするようになったのは17歳と、ミレニアル世代の回答者が答えた年齢(20歳)よりも数年早くなっている。
「回答者の半数近くが未読のメールに不安を感じ、4分の1がメールをめぐって眠れなくなったことがある。さらに、私たちはデモグラフィックス(性別、年齢、地域)ごとのばらつきの度合いにも関心があった。メール中毒に陥る年齢が若年化しているのは驚くべきことではないが、この傾向は今後も進むものと思われる」とMacKay氏は言う。
州ごとのメール傾向
州単位で見ると、全米で1日当たり最も頻繁にメールを確認していたのはメーン州民(35回)だった。次いで、2位のアイオワ州(29.6回)、3位のユタ州(22.8回)、ウェストバージニア州(21.4回)、ミシガン州(20.7回)が上位5位を占めた。逆に、1日当たりのメール確認が最も少なかったのは、9.1回のワシントン州だった。オレゴン州(9.4回)、イリノイ州(9.7回)、メリーランド州(10回)、ミシシッピ州(10.3回)が同州に続いた。
デジタル時代では、実質的にいつでもさまざまなデバイスで受信トレイをチェックできる。その一方で、回答者の4分の3が退屈しているときにメールを確認すると答え、半数弱が家族や友人と過ごしているときにメールをチェックすると答えている。69.3%の回答者は休暇中にメールをチェックすると答えており、たとえ休暇中であっても、人々は受信トレイに目を通さなければならないと感じてしまうようだ。
夜型のメール習慣
人々は夜間のメールチェックにも罪悪感を感じているようで、回答者の46%は「眠れない夜に」メールを確認すると述べている。回答者の半数は、朝、まだベッドの中にいる間にメールを確認すると答え、58.9%は夜と週末に受信トレイをチェックすると述べた。
リモートワークへの移行に伴い、多くの労働者はインスタントメッセージサービスやビデオ通話プラットフォームといった一連の膨大なコラボレーションツールを活用している。24時間体制のビデオ通話はいわゆる「Zoom疲れ」の原因となっており、回答者の大半(62%)は、代わりに電子メールで会議が行われることを望んでいると答えていた。
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この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。