本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、GRANDITが2021年10月に提供する中小企業向け国産統合型クラウドERP「GRANDIT miraimil」を取り上げる。
ユーザー系SI企業を中核としたコンソーシアムが開発
ユーザー系システムインテグレーション(SI)企業を中核としたコンソーシアム形式による国産の統合基幹業務システム(ERP)「GRANDIT(グランディット)」を展開するGRANDITは先頃、中小企業向けの国産統合型クラウドERP「GRANDIT miraimil(グランディット ミライミル)」を2021年10月から提供すると発表した。
miraimilは日本の業種固有の商習慣をパターン化したサービスで、まずは従来のオンプレミス型「GRANDIT」シリーズで導入実績が豊富な「商社、卸売業」と「サービス業」に特化した2種類のプランを提供する構えだ。
miraimilは主要な10種類の基幹業務機能から必要な機能を組み合わせて統合利用できるクラウドサービスで、従来のオンプレミス型GRANDITと比べて、最短で3カ月というスピード導入と平均80%の導入コストの削減(同社調べ)が可能だ。
また、システム基盤は日本マイクロソフトが提供するパブリッククラウド「Microsoft Azure」の占有環境で、GRANDITの専任スタッフによる運用保守、監視サポートが付いているため、ハードウェアおよびソフトウェアの両面でシステムの運用、保守が不要となり、IT担当者の業務負荷を軽減することができる。(図1)
図1:miraimilがカバーする領域(出典:GRANDIT)
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機能面の特長としては、コンソーシアム形式によって各社のノウハウを生かして日本企業の業務、商習慣に適合し、使いやすいERPとして開発されたGRANDITの機能をベースにしていることがまず挙げられる。
具体的には、各業務システムは単一の共通マスターで連携し、会計、人事、生産、物流、販売のフローの一元管理が可能だ。また、先にも少し触れたが、基幹業務10種類(経理、債権、債務、販売、調達在庫、継続契約、経費、資産管理、人事、給与)を自由に組み合わせて統合利用できる。さらに、承認ワークフロー機能を標準搭載しており、業務処理の効率化とペーパーレス化、意思決定のスピードアップに貢献するとしている。(図2)
図2:承認ワークフロー機能の画面イメージ(出典:GRANDIT)
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価格は利用者数10人までの税別月額利用料で45万円。発売から3年間で200社への導入を目指している。
今後、同社はmiraimilについて、他業種向けへのプランを拡大し、他サービスとの連携をはじめとした機能を強化しながら、中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援していくソリューションとして広げていきたい考えだ。