誰一人取り残さない、ユーザー中心のDX改革

第0回:ソフトウェア/アプリを定着化させるユーザーデータ分析の可能性

大山忍 (Pendo.io Japan)

2022-04-27 07:00

 デジタル庁は、これからの日本が目指すデジタル社会の姿と、それを実現するために必要な考え方や取り組みを示す「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を策定し、誰一人取り残されないデジタル社会の実現のため、各分野において取り組みを進めるという姿勢を明らかにしています。

 今回の連載では、デジタル庁のこの文言をテーマに掲げました。デジタルトランスフォーメーション(DX)におけるデータ、特にソフトウェアにおけるユーザーデータを中心に執筆する予定です。DXに限らずですが、例えばビジネス戦略における必要な項目といえば、少なくとも (1)ターゲットを確定する、(2)課題を見抜く(どの価値を届けるか)、(3)成功指標を定めることは基本事項です。しかしその解像度は、企業によってどうしてもばらつきが出ざるを得ません。その解像度をいかに上げるかという課題を整理するに当たり、重要になるのがデータです。

 特にSoftware as a Service(SaaS)においては、顧客は簡単にソフトウェアを導入、あるいは乗り換えることができます。SaaSの事業側にして見ると、ビジネスは、顧客のロイヤルティーをいかに維持できるかがビジネスの成否に関わってきます。顧客の声を漏らさず拾い上げ、顧客が何をし、どのように感じ、何を求めているのかを計測し、把握することは非常に重要になります。顧客の行動データや、顧客からのフィードバック、具体的な機能への要望は、SaaS企業がプロダクトを早いサイクルで改善し、より高い価値を顧客へ提供し続けるための潤滑油なのです。

 一方、導入企業のIT担当者側から見ると、DX化への大波の中で、従業員に負荷をかけず、まさに誰も取り残すことなく、デジタルの恩恵を受けるための支援をすることが、DX導入による働き方改革の成功可否を左右します。多くの企業では、導入のしやすさから複数のサービスが乱立し、しっかりと活用できていない、従業員がシステム疲れを起こしてしまっているケースも見受けられます。従業員が何につまずき、どこで離脱しているのかを把握し、正しい方向性に導くことがDX成功には不可欠なのです。

 このような立場から、データについて、DXについて、できる限り活用事例や米国のSaaS市場の最新事情なども併せて紹介していきます。連載では以下をテーマに取り上げる予定です。

【連載テーマ】※予定

  • 攻めのDX/守りのDXという考え方
  • データドリブン組織は株価をも変える(キーワード:PLG/PLO)
  • 米国SaaS企業はどのようにSaaSを使いこなしているのか
  • デジタルアダプションという考え方
大山 忍
Pendo.io Japan カスタマーサクセスディレクター
米国大学を卒業後、イベント会社にてイベントマネージャーを務めた後、インターネット広告効果測定のベンダー企業に転職し、黎明期にあったデジタルマーケティングに携わる。 Omniture/Adobeで日本のコンサルティング部門立ち上げ、Oracle Marketing Cloud、Domoなどでマネジメントとしてサポート・コンサルティング・トレーニング・CSMを含むCS組織とビジネスの立ち上げに従事。フリーランス時代には、インターネットマーケティングの書籍を出版、会社を設立してメディアサイト「ExchangeWire Japan」を立ち上げるなど、幅広い領域で活躍。Domoではカスタマーサクセスのフレームを日本に持ち込み、売上拡大を実現した。2020年にPendo.io Japanに2番目の社員として参画。組織全体のデザインに携わる中で、パートナー企業も含めたカスタマーサクセスのプロセスの策定に力を注ぐ。

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