アジア太平洋地域(APAC)は、サイバーセキュリティ人材の増加率こそ世界最大だが、なおも216万人超の人材不足に直面している。
情報セキュリティ認定資格CISSPなどの試験を運営している(ISC)2(国際情報システムセキュリティ認証コンソーシアム)の「Cybersecurity Workforce Study」(サイバーセキュリティ人材調査)2022年版によると、サイバーセキュリティ専門家の数は2022年に世界全体で約466万人に達し、そのうち85万9027人はAPACを拠点にしているという。この調査は、(ISC)2が2022年5月から6月にかけてForrester Researchと共同で実施したもので、職場でサイバーセキュリティを担当する1万1779人を対象にオンラインで回答を集めた。回答者は、シンガポール、オーストラリア、韓国、日本、中国、インド、米国、英国など4地域14カ国に及ぶ。
調査報告書の推計によると、2022年の世界におけるサイバーセキュリティ人材は、前年比で11.1%増加した。APACは増加率が15.6%と最も高く、他の地域の増加率は、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が12.5%、中南米が12.2%、北米が6.2%だった。人数では北米が最も多く、134万人となっている。
(ISC)2は国際的な非営利組織で、認定を受けたサイバーセキュリティ専門家で構成されている。
APACでは2022年、サイバーセキュリティ人材の増加率が世界最大だったものの、不足する人材が216万人と52.4%増加したことも明らかになった。特にシンガポールはサイバーセキュリティ人材が16.5%減の7万7425人で、減少したのは同国とドイツの2カ国だけだった。ドイツでは、減少率がわずか0.01%だった。
世界全体のサイバーセキュリティ人材不足は26.2%拡大して342万人となり、APACが最も多く、次いで中南米が51万5879人、北米が43万6080人となっている。
APACの回答者の約71%は、今後1年以内にサイバーセキュリティ人材の増加を見込んでいるとした。
(ISC)2の最高経営責任者(CEO)を務めるClar Rosso氏は次のように述べた。「地政学的な緊張とマクロ経済の不安定に加え、世間の目を引くデータ漏えいの発生や物理的なセキュリティ課題の増大により、サイバーセキュリティへの注目が高まり、この分野の専門家に対する需要が増している。今回の調査は、有能な人材を獲得して維持することがこれまで以上に重要になっていることを示している」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。