筆者は今、浜辺沿いのオフィスで、ビジネスジャーナリストたちや、Metaのテクノロジー専門家らとおしゃべりをしている。しかしその数分前には、同じ人たちとともに窓の外に広がる、サンフランシスコの近未来を思わせる風景を見ていた。
メタバース空間でハイタッチ
次世代の職場にようこそ。これは少なくとも、Metaの世界での話だ。筆者は最近、ロンドンのキングズクロス近くにあるMetaのオフィスで、同社の最新テクノロジーである「Meta Quest Pro」と、「Horizon Workrooms」と呼ばれる一連の関連機能を体験する機会を得た。
Metaによると、Quest Proは職場における創造性とコラボレーションを新たな段階へと引き上げることに「特化して」設計されているという。メタバースはこれまでのところ、ゲームやバーチャルショッピング、非代替性トークン(NFT)の収集などに関連する、コンシューマー向けの展開が主となっている。しかしMetaは、Quest Proによって新たな方向性、すなわち未来の職場の実現に向けて光を当てたいと強く望んでいる。
Meta Nothern EuropeのバイスプレジデントであるSteve Hatch氏は、あらゆる組織において、より柔軟な形態での作業を可能にする能力が成功に向けた鍵だという認識があり、新興テクノロジーはさまざまな場所で働くハイブリッドワーカーが気持ちよく、そして疎外感を感じずに働けるようにする上での力となり得ると述べた。
「そこを出発点とし、われわれが取り組んでいるのは、どのようにすれば人と企業にとって可能な限り最高のエクスペリエンスを実現できるのかということだ。そしてその中心には、インクルージョンと、あらゆる人々にとっての有効な作業環境の創出という課題がある」(Hatch氏)
提供:Meta
Metaは当地で開催された報道陣向けのイベントで新たな調査結果を発表した。それによると、従業員の大半(81%)は共同作業が可能な環境で働きたいと考えている一方、ビデオ通話で会議への参入感を得ている従業員はわずか16%しかおらず、ビデオ通話で同僚とのコラボレーションが可能だと考えている従業員はたったの14%しかいなかったという。
また、英国における従業員の半数以上(59%)は、インクルージョンに向けたこのような格差を埋める上でメタバースが役立ち、オフィスでの作業から生み出される一体感を再現できると感じているという。
Hatch氏は「これは統計的にかなり有意な結果だ」と述べ、「組織で働く人々は『興味を感じている物事がここにあり、さらに探求してみたいと思っている。そしてそれによって問題が解決できると考えている』と述べているのだ」と続けた。
MetaのソリューションであるQuest Proは米国時間10月11日に発表された。この製品には、メタバース内で自然な表情とより正確な表現を生み出すためのアイトラッキング技術が採用されるとともに、デジタル環境と物理環境におけるより効果的な相互作用を生み出すためのフルカラーの複合現実(MR)機能が搭載されている。
初期の「Meta Quest 2」ヘッドセットには分厚いフレネルレンズとディスプレイが搭載されていたが、Quest Proではパンケーキ光学系のレンズを採用し、コントラストを75%向上させるとともに、解像度は1インチあたりのピクセル数で37%増加し、形状は40%のスリム化が実現されている。また、ホワイトボードの仮想マーカーのように機能するモジュラー型のスタイラスを配した新たなコントローラーを備えており、抜本的に見直された仮想エクスペリエンスが得られるとMetaは述べている。
その使用感はどういったものなのだろうか?実際のところ、他の仮想現実(VR)テクノロジーすべてでも同じだが、最初にヘッドセットを使用する際には多少の慣れが必要となる。それは筆者のようなメタバース初心者にとっては特に言えることだ。