ANAシステムズはTuring Japanと共同で、人材管理のためのキャリアパスポートを実現するブロックチェーン電子証明書SaaS「Turing Certs」の活用に関する概念実証(PoC)を開始した。
Turing Certsは、ブロックチェーン電子証明書の発行・管理・真贋判定がワンストップで完結できるSaaS。欧州連合(EU)のEBSI(European Blockchain Services Infrastructure)で採択されているブロックチェーンの暗号化技術を活用している。発行する証明書類や重要書類のデータを安全にブロックチェーン上に格納し、個人情報や機密データの改ざんや漏えいリスクを低減し永続的な保管を可能にしているという。
また、一般データ保護規則(GDPR)コンプライアンスを適用し、国際規格ISO27001、ISO27701を取得した安全なセキュリティ運営の下で提供されている。ブロックチェーン技術と暗号化技術を活用することで、第三者機関が証明書を検証する手間を省き、改ざん不能なデータの発行と永続保存、即時真贋判定ができるという。
実証では、ANAグループの従来の人材管理に関する問題を解決できるかどうかを検証するという。航空業界の人材管理は、従来、複雑なプロセスも多く、効率性や信頼性の向上が求められていた。また、社内やグループ企業内での異動の際に各形態での契約を締結しているスタッフやパートナーが今まで積み上げてきた社内実績や社内訓練、社内認定試験の記録を完全に証明することは困難だった。
ANAシステムズでは、Turing Certsを導入することにより、従来の紙ベースの証明書や認定証明書やライセンスなどに代わる管理の実現を目指している。各契約形態で所属する従業員や整備士、パイロットなどのエキスパートスタッフにかかる社内訓練や実績などのあらゆる履歴が、安全かつ信用性を確保したまま一括で管理できるかを検証する。
さらに従来の人材管理プロセスに比べて、証明書の発行や更新、認証作業の手間を削減するなどにより効率性の向上やコスト削減が実現できるかについても検証する。加えてTuring Certsのセキュリティと透明性の確保についての能力を確認し、関係者間での信頼関係の強化についても検証するという。
ANAシステムズでは、Turing Certsを効率性、信頼性、セキュリティの向上と同時に、全従業員のキャリアパスポートを実現するツールとしてとらえている。これにより人材管理におけるさまざまな課題に対応しながら、競争力の強化や業務プロセスの革新が可能になるとしている。