Dell Technologiesは米国時間5月20~24日、ネバダ州ラスベガスで年次カンファレンス「Dell Technologies World」を開催している。初日の20日の基調講演では、創業者兼CEO(最高経営責任者)のMichael Dell氏が、AI時代に向けた新たなソリューション「Dell AI Factory」を中心に話した。
AI導入ソリューション「Dell AI Factory」を発表
Dellは2024年5月、創業40周年を迎えた。40年前に大学の寮で創業したDell氏は、「ここまで到達するとは想像もしなかった」と振り返る。Dellは、PCメーカーのDNAを保ちながら、旧EMCの買収によってエンタープライズ分野の地位を確固たるものにした。現在はPC、サーバー、ストレージ、ネットワークなどをそろえるエンタープライズITベンダーの1社である。その間にモバイル、クラウドなどの技術の波が訪れ、最新の波がAIだ。
「Dellは、生成AIのイニシアチブに取り組んできた。開発、プロダクト品質、サポート、サービス、セキュリティ、サプライチェーンなど、顧客やパートナーにとって重要なものにフォーカスしたものだ。われわれはよりスピーディーに、よりスマートに、よりしっかりしたものを届ける」とDell氏は述べる。これを、「短距離走者でありマラソンランナー」と表現した。
Dellが、スピードにこだわるのは理由がある。「AIの立ち上がり、需要、導入は、過去に例のないレベルだ。AIはあらゆる業界、あらゆる組織に影響を与えるだろう」(Dell氏)
一方で、大規模言語モデル(LLM)だけがモデルではないとする。自社のニーズに対応するために、ドメイン固有のモデル、ビジョンモデル、オムニバースモデルなどが必要になる組織もある。Dell氏は、「われわれは、まだモデルトレーニングの初期段階に過ぎない。エコシステムを通じて驚くようなイノベーションが起こっている」と話す。
「AI Factory」
同社が示す生成AIのイニシアチブの1つが「AI Factory」だ。Dellは、2023年のこのイベントで「Project Helix」として発表していたNVIDIAとの提携をベースにしたAIソリューション「Dell AI Factory with NVIDIA」を、3月にNVIDIAのカンファレンス「GTC」で発表した。
NVIDIAのAI技術(インフラ、ソフトウェア)、Dellのコンピュート、ストレージなどの技術、サービスなどで構成されるもので、既存のチャネルとDellのアズ・ア・サービス「Dell APEX」でも利用できる。
そして、今回のイベントでは「Dell AI Factory」として、NVIDIAの技術に縛られないAI導入に必要なフルスタックを発表した。オープンなエコシステムも特徴で、Hugging Face、Meta(LLMはLlama 3)、Microsoft(同Azure AI Services)、Qualcommなども加わる。