リバーベッド、WAN最適化ソフト「RiOS」新版--負荷にあわせて経路を自動選択

齋藤公二 (インサイト)

2013-08-19 19:35

 リバーベッドテクノロジーは8月19日、WAN最適化製品の基盤ソフトウェアの新版「RiOS 8.5」と同ソフトウェアを搭載した小規模環境向けのWAN最適化アプライアンス「Steelhead CX 255」を発表した。RiOS 8.5は保守契約を結ぶ顧客に対してパートナー経由で無償で提供する。Steelhead CX 255は9月頃から販売する予定で、本体価格は32万円から(保守契約は別)。

 RiOS 8.5の新機能は大きく3つある。1つ目は「パスセレクション(経路選択)」と呼ばれるアプリケーションの負荷状況などに応じて、自動的に最適なネッワーク経路を選択できるようにする機能の追加。2つ目は、業務でよく利用するアプリケーションやプロトコルへの対応の強化。3つ目は、アプリケーションとネッワークの可視化機能の追加となる。

 1つ目のパスセレクションは、クラウドサービスの利用が進み、ネットワークが複雑化していることに対応したもの。近年のネットワーク環境は、“MPLS”による専用線での接続だけでなく、インターネットVPNを使ったデータセンターへのアクセスやクラウドサービスへの直接アクセスなど複数の経路がある。MPLS(Multi-Protocol Label Switching)は、ラベルスイッチング方式を活用したパケット転送技術であり、ルータでのバケツリレー方式のデータ転送をより高速化する。

 これまでは、MPLSやインターネットVPNごとにWAN最適化機器を設置したり、アプリケーションごとにルーティングを設定して通信を最適化したりといったことが必要だった。パスセレクションを利用すると、そうした設定が不要になり、ネットワークの負荷分散やパフォーマンス向上を自動でできるようになる。


シニアテクニカルコンサルタントの寺前滋人氏

 「たとえば、FacebookやYouTubeのようなサービスは専用線を介する必要はないので、そのままネット回線を使う、専用線で利用していた業務アプリケーションの負荷が高まった場合はインターネットVPNに切り替えてパフォーマンスを向上する、といったことが可能だ。トラフィックの一部を定額で高速なインターネット回線に流すことはコスト削減やQoS向上にもつながる。複雑なハイブリッドネットワークをシンプルに管理できることがポイントだ」(シニアテクニカルコンサルタントの寺前滋人氏)

 パスセレクションは、DPI(Deep Packet Inspection)技術を用いてアプリケーションを識別し、アプリケーションごとに適切な経路とサービスレベルを確保する。

 2つめの新機能である、アプリケーションやプロトコルへの対応を強化では、具体的には「Microsoft SharePoint 2013」「NetApp SnapMirror」「SMB v3」に対応した。


利用アプリケーションのレポート画面。HTTP内でSharepointやSharepoint接続で利用するKerberos認証が識別されている

 SharePoint 2013については、アプリケーションレベルでの遅延(レイテンシ)最適化、ファイル編集の高速化、FPSE(FrontPage Server Extensions)プロトコルの最適化、WebDAVプロトコルの最適化が施された。NetApp SnapMirrorについては、これまでのEMCのリモートレプリケーション製品であるSRDFに加え、NetAppのSnapMirrorによる重複排除、圧縮、TCP最適化に対応した。QoSは、ポート単位ではなくトラフィック単位で変えることもできるという。

 SMB v3は、SharePoint 2013のほかに「Exchange 2013」「Office 365」「Windows 8」「Windows Server 2012」などで利用されているファイル共有プロトコル。米国で行われた回線速度1.5Mbps、遅延100ms環境でのパフォーマンステストでは、容量25.9Mバイトのファイル(Word、Excel、PPT、EXEの4ファイル)の転送で、最適化しない場合と比較して60倍高速、最大99%のデータ削減という結果になったという。

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