「Watson」を手掛けるIBM Researchの人工知能(AI)によれば、これがAIを表す絵だという。これはNew York Times(NYT)のAIに関する記事シリーズの1つに掲載された絵で、研究者がAIに対して自分自身を表すイメージを表現しろと命じて作成させたものだ。
広報担当者は、「研究者らは、この実験のためにAIにミッションを与え、その完了には3週間かかった。与えられたミッションは、AIの中核的なビジュアルコンセプトを突き止め、AIのコンセプトを表現したオリジナルのイメージを作成し、それをNYTのビジュアルスタイルに合う形で表現する、というものだった」と述べている。
IBMのアルゴリズムは、この画像を生み出すために、人間が行っているクリエイティブな作業プロセスを真似た。
最初に行われた作業はコンセプトに関するものだった。AIは数千本のNYTの記事を読み、そこからAIを代表するコンセプトを抽出した。その中で最終的に残ったコンセプトは、人間と握手をするロボットだった。
次にAIは、2つのニューラルネットワークをゼロサムゲームで戦わせる「敵対的生成ネットワーク」(GAN)と呼ばれる手法を用いて、1000枚の写真や画像を学習用のデータセットとして用いて自分のイメージを生成した。
その後、過去に発行されたNYTの記事を調査して、そのイメージに合ったビジュアルスタイルが決定されたという。
自動化が進み、創造的な表現に対する人間の優位性が揺らいできていることもあって、AIと創造性の関わりに対する関心は高まっている。しかし、上記のプロセスでも説明されている通り、AIの創造性は本質的に人間の創造性から生み出されるものであり、この2つは共生的な関係にあると考えられる。
広告や映画製作から文章の作成まで、さまざまな創造的作業が自動化されつつある中、そのプロセスの途中の段階では依然として人間が必要とされていることが明らかにされるのは、歓迎すべきことだと言えるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。