SAS Institute Japanとアクセンチュア、インテル、フォーブス・インサイツは10月23日、各社共同による人工知能(AI)導入企業に関する調査結果を発表した。調査結果をまとめたレポートによると、AI導入企業(調査対象企業の72%)のうち70%が技術者向けの倫理研修を実施しており、63%がAIの利用状況を評価する倫理委員会を設置していることが分かった。
さらに「技術者向けの倫理研修を実施している」という回答については、自社のAI導入が「成功している」または「非常に成功している」とする「AI先進企業」では92%に上り、AI導入の効果が出ていないとする企業では48%となった。
AI先進企業の回答では、74%が「AIが生み出した成果を最低でも週に1回評価して、注意深く監視している」と回答しており、43%が「評価時に疑わしいと判断された結果を補完もしくは無効化するプロセスが社内に存在する」としている。
同調査は、日本(22人)を含む世界のビジネスリーダー305人を対象にして7月に行われたもの。305人のうち、半数以上がCIO、CTO、CAO(最高分析責任者)。調査対象者の所属企業は従業員1000人以上の企業が97%を占めている。
その他の調査結果では、AI導入企業の44%が「AIの導入は間違いなく成功であった」と回答し、46%が「複数の業務で全面的にAIを導入している」と答えた。また、自社のAIの取り組みについて、上級役職者以外の回答者の55%が「成功している」もしくは「大いに成功している」と回答した一方、上級役職者では38%にとどまっている。
AI導入の課題としては、AIを既に導入している、もしくは導入を計画している企業の60%が、「AIによる意思決定が顧客との関係性に影響をおよぼす懸念がある」としている。さらに調査対象企業の約20%が「雇用が脅かされるという理由で、従業員の間に(AI導入について)反対意見がある」と回答しており、従業員との関係に影響が生じる懸念について、57%が「懸念を感じている」または「強く懸念を感じている」と答えている。