コンサルティング会社Deloitteによると、人工知能(AI)関連のアーリーアダプター企業のうち、投資に見合った成果を手にしている企業の割合は82%にのぼっており、投資が加速しているという。とは言うものの、AI技術の普及とともにいくつかの懸念も持ち上がってきている。
同社のレポート「State of AI in the Enterprise」(企業におけるAIの現状)によると、AIプロジェクトにおける平均的な投資収益率(ROI)は17%だという。同社の調査は米国におけるAI関連のアーリーアダプター企業の幹部1100人を対象に実施された。
しかし、AIはあらゆる業界に対して平等に成果をもたらしてくれるわけではない。例えば、ライフサイエンス業界やヘルスケア業界はAIに多大な投資をしているものの、テクノロジ業界や通信業界ほど大きな成果は得られていない。
同レポートによると、機械学習(ML)に取り組んでいるのは63%であり、自然言語処理(NLP)に取り組んでいるのは62%だという。また、コンピュータビジョンには57%が、深層学習ニューラルネットワークには半数が取り組んでいると回答している。さらに、こうした技術に取り組み始める最も手軽な手段は、AIを搭載したエンタープライズソフトウェアとなっており、パートナー企業との共同開発やクラウドサービスの利用がその後に続いている。
その他多くの新興テクノロジと同様に、アーリーアダプターには一日の長が認められ、先行利益を享受する場合が多く見られる。そして新テクノロジを採用する企業が増え始める(例えば業界内で3社目が採用する)頃には、より多くの問題が生じることになる。
回答者らはAIに懸念を抱いており、調査に参加した幹部のうちの32%が過去2年間にAI関連の情報流出があったと回答している。こうしたサイバーセキュリティに対する不安により、回答者のうちの5人に1人がAI関連の計画を棚上げしている。さらに、40%の回答者が、AIシステムと法規制のリスクに懸念があると回答している。